イベントページの作成やチケッティングなど、イベント主催者にとって面倒なイベント管理の負荷を軽減するサービスを提供するPeaTiXが今日、フォロー機能など機能追加を発表した。新機能は5つある。
1つは「フォロー機能」。これはイベント参加者が主催者をフォローできる機能だ。主催者が新たにイベントページを立ち上げたとき、この主催者をフォローしているユーザーはメールやアプリ内の「おすすめイベント」上で通知を受け取ることができる。これは、継続的にイベントを開催する主催者とそれを利用したいユーザー向けの機能だ。
2つ目は、割引コードを主催者が任意に設定できる機能。特定コードを入れることで割引を適用をするような販売方式で、これまではコードの発行はPeaTiXが個別イベントごとに行なっていた。主催者が任意に設定できるようになったことで、主催者自ら「全額オフの招待チケット」の発行や、「友人の紹介割引」といった柔軟な割引販売ができるようになる。
3つ目の機能は、ユーザー間でのチケットの転送機能だ。この機能を使うと誰か1人がチケットを複数枚まとめて買って、それを友人にプレゼントするようなことができる。
4つ目はメッセージ機能の強化。イベント参加者へメッセージを送付する場合に、「チケットの種類」、「支払い状況」など、ステータスに応じて送付メッセージを変えられるようになった。例えば、コンビニ決済の未払い者へ支払期限を通知することで歩留まりを上げたり(コンビニ決済を選択した参加者が未払いのまま期限を迎えるケースは一般に3割程度にのぼるそうだ)、参加者だけに会場案内などのメッセージを送ることができるという。
5つ目はセールス状況の管理機能。これまで参加者単位でしか見れなかった販売状況などが、セールス単位で管理できるようになった。
チケット販売課金モデルから脱皮して目指すもの
チケッティングを始めとするイベント管理業務の手間を軽減するサービスは日本でも海外でも数多く登場している。英語圏ではEventBrightやevite、日本国内ではPeaTiXのほかにも、eventATND、EventRegist、Doorkeeper、everevo、Wazoo.jp、Zusaar、wazooなどがある。
激戦区とも言えるイベント管理サービス市場。それぞれ利用料や対象イベントの種別や規模などで力点は異なるが、ほぼ共通しているのは、これらが有料イベントにおけるチケット販売の6〜8%程度を課金するマネタイズモデルを採用していることだ。この点、PeaTiXは異なるマネタイズ手法を目指しているそうだ。
PeaTiXは今年2月に大幅な値下げを行い、それまで手数料としてチケット代金の6%を課金していたものを「チケット販売手数料2.9%+70円(注文ごと)」と競合サービスの中でも最低レベルに引き下げた。Orinoco Peatix取締役の藤田祐司氏によれば、これは単に安くしたというよりも、決済で発生する原価近くにまで抑えた数字だそうだ。これはトランザクションに対する課金でマネタイズするというモデルからの脱却を目指した結果という。手数料を最安とすることで、競合に対してイベントの取り扱い量で一気に差をつけて、代わりにイベント関連のビジネスのほうでマネタイズするモデルを目指す。例えば、イベントとスポンサー企業、あるいはイベントスペース提供者をマッチングするとか、イベント開催地周辺の店舗の割引クーポンを提供し、クーポン利用による売り上げの一部をイベント主催者とPeaTiXとで折半するといったO2Oモデルもあるという。何らかの商材をプロモーションしたい企業は、イベント参加者の属性などから親和性の高いイベントを選んでデジタルクーポンを配布するようなこともできる。
PeaTiXは、こうしたイベント周辺ビジネスへと収益源の軸足を移しつつあるというわけだ。
PeaTiXは2011年5月にスタートし、これまでに勉強会、セミナー、音楽ライブ、スポーツ、忘年会、結婚式、同窓会など1万以上のイベントに利用されてきたという。500 StartupsやDG Incubation、伊藤忠テクノロジー・ベンチャーズ、フィデリティ・ジャパンなどから3度のラウンドで計470万ドルの資金を調達している。