今年初めに資金を調達した保険マーケットプレイス(保険比較サイト)のスタートアップの一群に始まり、今夏に高い評価で公開した新しいタイプの保険会社のLemonade(レモネード)、Hippo(ヒッポ)の巨額の新ラウンドや目前に迫るRoot(ルート)のユニコーンIPOまで、2020年は保険分野のスタートアップや成長志向の未公開テック企業にとって忙しい年となった。
そのニュースの流れは続いている。The Zebra(ザ・ゼブラ)が年換算売上高が約1億ドル(約106億円)に達したこと、そしておそらくさらに注目すべきことに利益を計上したことを発表したのだ。
同社はAccelがリードしたシリーズCで最初に3850万ドル(約41億円)を調達し、最終的には4350万ドル(約46億円)に達した。TechCrunchは2月、自動車保険と住宅保険市場のスタートアップを取り上げた際、それについても触れた。当時述べたように、同社は「今年新たに資金を調達したInsurify(2300万ドル=約24億円)、Gabi(2700万ドル=約29億円)、Policygenius(1億ドル=約106億円)」の仲間入りを果たした。
The ZebraはシリーズCサイクルの間に多くの財務実績指標を発表した。それには2019年に3700万ドル(約39億円)の売上高を計上したことや、シリーズCの頃に年換算売上高が6000万ドル(約64億円)に達したことが含まれる。今年は規模が2倍になり、2020年末までに年換算売上高が1億ドル(約106億円)を超える可能性があると述べた。
そうした経緯を踏まえて同社の最近の業績について見てみたい。
変化する市場
The Zebraによれば、同社は2020年5月に600万ドル(約6億4000万円)の純売上高を計上した。その数字は9月には約800万ドル(約8億5000万ドル)に増えた。掛け算ができる方向けには800万ドルに12を掛けると9600万ドル(約102億)、つまり1億ドル(約106億円)をわずかに下回る金額となる。The ZebraのCEOであるKeith Melnick(キース・メルニック)氏との電話によると、同社の9月は830万ドル(約8億8000万円)に非常に近く、年換算で1億ドルになる。
1億ドル(約106億円)ARR(年換算売上高)クラブのスタートアップの規模は多少ぶれる余地がある傾向があることを考えると、9月の最終的な売上高の集計の結果わずかに届かないとしても、足元の成長率であればZebraが1億ドル(約106億円)の売上高規模に達したと言ってもまったく問題はないように思える。このペースなら10月には(米ドルで)9桁のトップライン(売上高)に届くペースはずだ。
メルニック氏によると、Zebraの売上高の大部分は一回限りの性質だが、経常的な性質の売上高の割合が増えている。同氏によると、昨年はZebraの売上高の約2〜5%が経常的な性質を有しており、現在は最大で約10%になるという。(Zebraが保険約を締結し、それが更新されると手数料が再び得られる)
2020年の同社の急成長の原動力は何か。保険市場が変化したことも一因だ。対面販売に頼る保険ネットワークは、新型コロナウイルスのためにビジネスを推進する能力が低下した。The Zebraのような保険マーケットプレイスの参入にはオフラインの需要をオンラインに移す効果があった。メルニック氏はTechCrunchにその動きについて詳細に述べ、特定の広告チャネルで需要が減少したとき、同氏の会社は安価な在庫を活用することができたと付け加えた。
2020年はこれまでのところ、多くの要因によりThe Zebraに急速な成長がもたらされたようだ。次に来る問いは、インシュアテックのスタートアップ分野の他の関連プレーヤーも同様に成長したのかどうかだ。それについては数日後に続報する。
最後に、同社は現在利益を上げていると主張する。もちろん2020年において利益と言った場合、それはふわふわした言葉だから、TechCrunchは同社がその声明で何を意味していたのかを正確に知りたいと考えた。同社のCEOによると、収益性の「ゴールドスタンダード」である純利益はプラスだった。ゴールドスダンダードと言えるのは、純利益は非現金支出費用を含むあらゆる費用を反映しているからだ。スタートアップは純利益を実態より良く見せるために非現金支出費用を計算から除く傾向がある。
インシュアテック分野の他のプレーヤーが同様の軌道に乗っているなら、今年初めにこのセクターに参入した資本はすべて、先見の明があったということになる。
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(翻訳:Mizoguchi)