インドのフードデリバリースタートアップZomato(ゾマト)は2021年の上場に向け、昨年開始した投資ラウンドで6億6000万ドル(約682億円)を調達した。
シリーズJとなる本ラウンドにはTiger Global、Kor、Luxor、Fidelity (FMR)、D1 Capital、Baillie Gifford、Mirae、Steadviewが参加したとZomatoは述べた。ポストマネーでのバリュエーションは39億ドル(約4030億円)だ。同社は以前、シリーズJラウンドの一環でAnt Financial、Tiger Global、Baillie Gifford、Temasekからの2億1200万ドル(約220億円)の調達を明らかにしていた。
Zomatoの共同創業者でCEOのDeepinder Goyal(ディーピンダー・ゴヤル)氏は、創業12年になる同社が第2次取引の1億4000万ドル(約145億円)をクローズする過程にある、と述べた。「取引の一環として、当社はすでに3000万ドル(約31億円)相当の流動性資産を元従業員に提供しました」と同氏はツイートした。
Zomatoはもともと今年1月までに約6億ドル(約620億円)で本ラウンドをクローズするつもりだった。しかし現在も続くパンデミックを含め、いくつかの障害により資金調達が難しくなった。加えて、本ラウンドに1億5000万ドル(約155億円)の出資を約束していたAnt Financialが3分の1の額の拠出にとどまった、とZomatoの投資家であるInfo Edgeが今年始めに明らかにした。
今年初めにUberのフードデリバリーのインド事業を買収したグルガーオンに本社を置くZomatoは、Prosus Venturesが支援するSwiggy(スウィギー)とインドで競合している。サードプレイヤーとしてAmazon(アマゾン)もこの分野に参入した。ただし同社は現在、バンガロールの一部でのみフードデリバリーを提供している。
インドのフードデリバリーマーケットは2022年までに120億ドル(約1兆2000億円)規模に膨らむとBernsteinのアナリストは予想している。マーケットシェア約50%のZomatoが現在この分野のリーダーだとアナリストはレポートに書いた。
Zomatoは今年、財政状況の改善と新型コロナウイルスパンデミックを生き抜くために、何百人もの社員をレイオフした。パンデミックはインドのフードデリバリー産業に著しいダメージを与えた。ゴヤル氏は、フードデリバリーマーケットは「急速にCOVID-19の影から脱しつつあります。2020年12月の販売総額は当社の歴史の中で最高となりそうです。この前にピークだった2020年2月の販売総額を25%超上回っています」と付け加えた。「今後について、そして顧客やデリバリーパートナー、レストランパートナーへの影響について非常に興奮しています」
9月に、ゴヤル氏は従業員に対し、Zomatoが「2021年上半期のどこか」でのIPOに向けて準備を進め、「将来のM&Aへの備えと、競合他社からのちょっかいや価格戦争を撃退する」ための軍資金を調達していると伝えた。
フードデリバリーで儲けることはインドではかなり難しい。バンガロール拠点の調査会社RedSeerによると、配達される料理の1品あたりの価格が約33ドル(約3400円)である米国のような西欧マーケットと異なり、インドでは似たような料理の価格は4ドル(約410円)だ。
「問題は、毎日フードデリバリーを注文するだけの財政的余裕がある人はインドではかなり少ないということです」とIndia Quotient,のベンチャーキャピタリスト、 Anand Lunia(アナンド・ルニア)氏は今年初めのTechCrunchとのインタビューで述べた。
カテゴリー:
タグ:
画像クレジット: Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)