インドの最高裁は2020年1月10日、カシミールにおける無期限のインターネット遮断は不当であり、Narendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相率いる政府による「権力の乱用」と裁定した。
同国は2019年8月、イスラム教徒が大半を占めるカシミールの自治を取り消し、その後インターネットアクセスを遮断した。政府がセキュリティのためとして強行しているこのインターネット遮断は、あらゆる民主主義の中で最長となる。今回の最高裁による裁定は、インターネット接続を回復させるものではない。
最高裁は裁定の中で、インターネットの無期限の遮断はインドの通信規則に反していると指摘している。N. V. Ramana(N. V. ラマナ)判事はまた、カシミール地元当局に1週間以内にすべての制限を見直すよう命じた。
また最高裁は、政府がすべてのインターネット遮断命令をつまびらかにすべきとした。不当な扱いを受けている人々がそうした命令に抗うことができるよう書面で公開すべきとしている。
インド政府はカシミールで携帯電話の通信も遮断したが、現在これは大半のところで回復している。
活動家でニュースメディアのMediaNamaの創業者であるNikhil Pahwa(ニクヒル・パーワ)氏は、最高裁の裁定は下級裁判所に手本を示すものとして「意義深い」と述べた。
ニューデリーを拠点とするデジタル支持団体「Software Law and Freedom Centre」が運営するサービスInternet Shutdownsによると、インドでは過去9年間で381件のインターネット遮断が報告されている。そのうちの319件は2017年以降のものだ。
インターネットが利用できない状態は、事業にもかなり大きな影響を及ぼしてきた。インド国際経済関係研究所(ICRIER)の2018年に行われた調査によると、インターネット遮断でインド経済は30億4000万ドル(約3330億円)の損失を被った。業界団体のインド携帯通信協会(COAI)は2019年12月末に発表したレポートで、サービスを展開する22エリアでの遮断により通信会社は1日あたり800万ドル(約8億8000万円)の損失となっていると推定している。
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(翻訳:Mizoguchi)