ロンドンとロサンゼルスを拠点に、eコマースとモバイル技術のプラットフォームをインフルエンサーに提供し、起業を支援するブランディング企業Genflow(ジェンフロー)が、1100万ドル(約11億4000万円)の資金を調達した。
このラウンドは英国の投資会社BGFが主導した。今回投入された資金で、Genflowは事業を拡大し海外進出を果たす。
2016年、ソーシャルメディアのインフルエンサーが独自ブランドを立ち上げてオーディエンスから利益が得られるよう支援する目的で、起業家Shan Hanif(シャン・ハニフ)が創設したGenflowは、戦略、デザイン、プランニングを行う従来のブランディング企業の側面と、独自のソフトウェアスタックを持つテック企業の側面を併せ持つ。
これによりGenflowは、サービスとしてのブランド(Brand as a Service、BaaS)と自らを位置づけ、外部のブランドを宣伝するのではなく、インフルエンサーによる独自のデジタル製品や物品の開発を支援し、独自の会員制クラブ、ゲーテッドコミュニティー、モバイルアプリ、直販ブランドなどの構築を可能にする。
「Genflowはデザイン、開発、製造、流通から、収益を高める戦略、マーケティング、コンテンツ制作を網羅する完全なインフラストラクチャーを提供します」と同社は説明する。
Genflowによれば、そのクライアントベースは、Instagram(インスタグラム)とYouTube(ユーチューブ)で多くのフォロワーを有する実績あるインフルエンサーだという。
「Genflowは、昔ながらのブランドの販促ではなく、インフルエンサーが独自の事業を立ち上げる手助けをするものです。そのため、特定のオーディエンスがあり、自分だけの本物のオーディエンスを獲得し事業を立ち上げたいと考える人がいれば、私たちはそれを代行します」とハニフ氏。「私たちは、事業を立ち上げるための完全なインフラを提供します。デザイン、製造、開発、コンテンツ、戦略、マーケティングがすべてひとつの場所で揃います。これにより私たちは、非常に高いレベルでの仕事が可能となり、収益を拡大するユニークな能力を発揮できます」。
ハニフ氏によれば、Genflowを訪れるインフルエンサーは、アイデアがある人か、どんなブランドを立ち上げればよいかを探る手助けを求める人のいずれかだという。「私たちは、社内開発のソフトウェア『Genlytics(ジェンリティクス)』を使って、彼らのアナリティクス、オーディエンスの概要、過去にどんなブランドと関わったかを見て、リリースする上でもっとも相応しいブランドを決め、どれほどの売上が見込めるかを調べます」と彼は説明する。
そうしてGenflowは、クライアントを交えてブランド構築の過程に入る。そこには大きく2つの選択肢がある。ゲーテッドコンテンツ、会員制クラブ、コミュニティーアプリやモバイルアプリを開発するか、物品の直販ブランドを開発するかだ。
前者は、自分専用のOnlyFans(オンリーファンズ)やPatreon(パトレオン)のようなソーシャルメディア・プラットフォームといえる。後者は、昔ながらの消費者直販型のeコマース事業だ。製品をデザインし、工場と協力してサンプルを作り、製品を製造して、流通を取り仕切るといった内容になる。
「どちらの場合も、私たちがブランドの立ち上げプランと戦略を立て、その後にインフルエンサーと一緒にブランドをローンチします」とハニフ氏はいう。
「おもしろいのは、スタートアップはまず目的を決め、チームを組み、資金を集めてから顧客を探すのが普通だということです。私たちが発明したのは『まずオーディエンスありきのアプローチ』です。すでにオーディエンスがあるので、そこに適した製品を作りさえすれば、すぐに成功できます。私たちのブランドに対する私の評価基準は普通ではありません。顧客転換率は5〜30%、リピート購入率は20%、Facebook(フェイスブック)の広告費の回収率はおよそ6対1です」。
「これまでに私たちが立ち上げたすべてのブランドが利益を生み、前年比で成長を続けていることに、私たちは誇りを感じています。私たちのアプローチが機能しているのです」
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Genflow、インフルエンサー、ブランディング、資金調達
画像クレジット:Genflow
[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)