TeslaとSpaceXのCEO、イーロン・マスクは本当にトンネル掘削会社をスタートさせる。会社の名前もThe Boring Companyだという。この会社の頭文字はTBCになるが、ご存知のようにこれは「次回に続く(to be continued)」の略語としても知られている。マスクはトンネル掘削に賭ける野心をまずTwitterに投稿し、続いてデモがBloombergの特集記事になった。
この掘削はロサンゼルス空港付近のSpaceX本社の駐車場という意外な場所で開始されたが、これは実用的な理由の他に、私有地なので法律的問題をクリアする必要がないという点もあったらしい。
現在のプランというのは、トンネル・ボーリング・マシンを設置できるよう駐車場に掘られた最初の穴を拡張することだという。ボーリング・マシンはその後地下15メートルのあたりで水平にトンネルを掘り進む。最終的には自動車が通行できる広さのトンネルになる。マスクがBloombergに語ったところでは、このトンネルは「新しい地下交通ネットワークの一環となる」ということだが、このトンネルが具体的にどこへ向かうのかは明らかにしなかった。
マスクは最終的に自動車と列車が利用できる上下30レベルにも上るトンネルネットワークを構想している。マスクが提唱する真空チューブ輸送―Hyperloop―ももちろん候補の一つだろう。マスクのビジョンは、現在のように地表に縛られた2次元ではなく、上下に自由に交差可能な3次元の地下交通システムを建設することだ。
都市交通の3次元化を進める上での選択肢はもう一つある。上空だ。UberやAirbusは「空飛ぶオンデマンド・タクシー」の構想を追求している。これも地上の渋滞を避ける有力な方法だろう。しかしマスクは安全性、実現性、輸送力、あらゆる面で空を飛ぶよりトンネルの方が有利だと考えている。
都市内の飛行輸送システムに関する最初のハードルは技術的なものだ。コスト・パフォーマンスに優れた機体を生産するためには今後数多くのテクノロジーを完成させねばならない。また航空は特に規制が厳しい分野だ。飛行経路などを含めて交通システム自体をゼロからデザインする必要もある。これと比較すれば、トンネルについては既存の知識が大幅に活用できる。もちろんマスクのビジョンは既存の枠組みをはるかに超えたものだが、それでも地下交通自体はゼロから構想されるわけではない。
マスクの計画にもテクノロジー上のイノベーションが多々必要だ。しかしマスクは既存のものよりはるかに掘削速度が速い「優れたボーリング・マシン」を開発する自信があるようだ。
マスクがBloombergに語ったところによれば、「トンネル掘削産業というのはSpaceXがスタートしたときの宇宙産業のような状態」にあるという。つまりレガシー・プレイヤーはほとんどテクノロジーを進歩させておらず公共事業の巨大な予算に頼りきっていた。技術革新を狙うスタートアップにとっては十分に成算がある分野ということだろう。
トンネルの掘削と利用に関してはすでに十分に先例もある。一見突飛に見えても一歩下がって検討すると、都市交通の改善にトンネルを活用するというマスクのアイデアは理にかなっているように思える。
画像: VALERY HACHE/AFP/Getty Images/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)