Elon Musk(イーロン・マスク)氏は先日、気候変動を食い止める一手段として、二酸化炭素を積極的に大気から取り除くことができる二酸化炭素回収(Carbon Capture)の新技術を促進するため、1億ドル(約105億円)を寄付すると世間に知らしめた。2021年1月に同氏がツイートした際にTechCrunchが報じたように、マスク氏の大規模な金銭的インセンティブは、同様の考えを持つ、世界を変えるテクノロジーの開発を目的とした野心的な技術コンテストを主催している非営利団体XPRIZE財団に寄付されることになった。そしてこのほど、XPRIZEとマスク氏はこのコンテストの詳細を新たに発表した。
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総額1億ドル(約105億円)の賞金プールが、このコンペティションを通じて授与される。コンペティションは、「大気中や海洋から直接、二酸化炭素を除去し、環境に負担をかけない方法で恒久的に貯留する」ことができるソリューションを模索する。これは野心的な目標であり、地球全体のバランスの中で、炭素という元素の存在にネットネガテイブの影響を与える回収方法を追求するものだ。XPRIZEは、最高15組のファイナリストにそれぞれ100万ドル(約1億1000万円)を授与する予定で、さらに上位3組の受賞者については、大賞受賞者には5000万ドル(約52億6000万円)、2位と3位にはそれぞれ2000万ドル(約21億円)と1000万ドル(約10億5000万円)を授与することを目指している。また、学生チーム参加者のために特別に、それぞれ25万ドル(約2630万円)相当の奨学金も25組分用意されている。
勝利の資格を得るためには、ソリューションは1日あたり1トンの二酸化炭素を抽出することができ、プレゼンテーション時にはスケーリングされた検証済みモデルで実行可能であり、将来的に「ギガトンレベル」にまでスケールアップできる、商業的に実行可能な方法でなければなならない。これらは新技術にとって大きな目標だが、このコンペティションにかかっているものは大きい。マスク氏は、気候変動を人類の存亡に関わる脅威として頻繁に言及しており、炭素回収は気候変動に対抗するための重要な手段の1つだからだ。
大気から抽出した二酸化炭素を利用して新しいタイプの燃料を製造するカナダのCarbon Engineering(カーボンエンジニアリング)や、大気から除去した二酸化炭素を利用して蒸留したカーボンネガティブウォッカのAir Vodkaなど、炭素回収の方法は存在するし、それが新しいスタートアップや新興ビジネスの中心となっているケースもある。ひと握りの企業はこの技術を追求しているものの、問題は、安全かつ副産物が環境に影響を与えない方法で炭素を除去するのは、一般的に非常に高価であるということだ。
新しいXPRIZEのコンペティションは、2004年に行われた1000万ドルの民間宇宙飛行「Ansari XPRIZE(アンサリ・Xプライズ)」が宇宙産業の新時代の発展を牽引したのと同様に、幅広い新興企業の発展に拍車をかけることを目指している。今回のコンテストは米国時間2021年4月22日に正式に開始され、その時点で完全なガイドラインが公開され、登録が開始される。応募者はソリューションを提出するまでに最長4年間の期間が与えられ、コンテストは2025年のアースデイ(4月22日)に終了し、最初のステージの100万ドルの賞金はその18カ月後に分配される。これにより、チームが上位入賞に向け、本格的なデモを構築するために必要な資金が提供されることになる。
カテゴリー:EnviroTech
タグ:イーロン・マスク、二酸化炭素
画像クレジット:DAVID MCNEW / AFP / Getty Images
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(文:Darrell Etherington、翻訳:TechCrunch Japan)