ウィキペディアの弱点を補完するGoldenは最新技術やスタートアップに強い

Jude Gomila氏は、モバイル広告会社HeyzapをRNTS Mediaに売却した経験を持つ。そして今はまた、新たな挑戦に取り組んでいる。それは、ウィキペディアの盲点を補完する「知識ベース」を構築することだ。特に、最新技術やスタートアップに強いものにしようとしている。

Gomila氏が、正式にGoldenを公開したのは米国時間4月30日だが、すでに「the latest batch of Y Combinator startups」や「morphogenetic engineering(形態形成工学)」などといったコンテンツで満たされている。そしてすでに、Andreessen Horowitz、Gigafund、Founders Fund、SV Angel、Liquid 2 Ventures/Joe Montanaといった投資ファンドや、Gomila氏とともにHeyzapを創立したImmad Akhund氏をはじめとする多くのエンジェル投資家から、合計500万ドル(約5億5500万円)を調達済だ。

いまさら言うまでもなく、ウィキペディアは非常に便利なウェブサイトだ。しかし、Gomila氏によれば、SV Angel、Benchling、Lisk、Urbitといった著名な企業や技術について、現状では項目が立てられていないものもある。この問題は、Gomila氏に言わせれば、ウィキペディアの「気まぐれな著名度のしきい値」によるところが大きい。これについては実は小生にも経験がある。数年前、ウィキペディアに私の名前の項目が立ったことがあった。もちろん私が書いたのでないことは誓ってもいい。

そうしたしきい値も、ウィキペディアが立ち上がったころ、まだインフラのコストが高かったときには理にかなっていたのだろうが、今ではもう意味がないと、Gomila氏は指摘している。Goldenの項目として何を含めるべきかを決定する際の「もっと根本的な」問いは、実存に関するものだとGomila氏は言う。つまり、「この会社は存在しているのか?」、「Anthony Haという人物は存在しているのか?」ということだ。もしその答えがイエスなら、その項目がGoldenに含まれることになる可能性は高い。少なくとも、ゆくゆくは。

Gomila氏は自身のブログ記事で、このサイトについてのビジョンを以下のように述べている。

私たちは極度にニッチな時代に生きています。それは、妥当性と網羅性が、著名度よりも重要な時代です。私たちのGoldenという百科事典には、本棚のスペースという限界はありません。私たちは、ゆくゆくは、存在するものすべてを網羅したいと考えています。アインシュタインが、特殊相対論の論文を発表した際、一般の人は注目しませんでした。人々がその重要性に気付いたのは後になってからのことです。この項目は今日発見されたばかりのものだが、この世界の法典から排除しても良いのだろうか、という疑問は常にあるのです。

Gomila氏は、この問題に対して、いくつかの新しい技術と斬新なアプローチを導入しているという。その中には、かなり直接的なものもある。たとえばユーザーは、ビデオ、学術論文、その他のマルチメディアコンテンツをGoldenのページに埋め込むことができるのだ。

それに加えてGomila氏は、Goldenのページを書いたり編集したりする作業を、ずっと簡単なものにしたいと考えている。そのために、いわゆるWYSIWYGのエディタを装備した。HTMLの知識は必要ない。また、例えば別のサイトへのリンクを張ろうとする場合には、そのサイトの著者やタイトルを自動的に抽出して提案する、といった補助機能も備えている。

Gomila氏によると、こうした機能によってユーザーはかなり速く作業できるようになる。「Goldenでの1時間の作業は、他のプラットフォームなら100時間に相当します」と述べている。

また、透明性も重要なポイントだ。「高解像度の引用」と呼ばれる機能は、根拠を示そうとしている部分をとりわけ明確に示すことができる。さらに、Goldenのアカウント名は、ユーザーの実名に関連付けられている。言い換えれば、ユーザーは実名でページを編集することになるわけだ。Gomila氏は、Goldenのサイトは、ボット検出機能と「さまざまな保護メカニズム」を備え、ユーザーが他人になりすますことを防ぎ、実名による編集を裏付けられるようにしているという。

「相変わらず荒らしを企てる人がいることもわかっていますが、きっとその試みはくじかれることになるでしょう」と、自信を示した。

誰かが誤った情報、あるいは誤解を招くような記述をページに追加したと読者が思ったら、それを問題として報告することができる。Gomila氏は、AIが編集者のような役割を果たすこともできると主張している。誰かが偏見を含む言葉を使ったり、何かの売り込みのようなことを書いたら、それを指摘できるのだという。

「AIは偏向している可能性がありますが、人間も偏見を持っている可能性があります」と彼は認めている。しかし両者が協力することで、Goldenが真実に近づくことができるようになることを願っている。彼はまた「私たちは編集者として変更するのではなく、チームとして一般のユーザーのようにふるまうのです。つまり、編集したり問題にフラグを立てたりするのです」と付け加えた。

一般ユーザーは無料でGoldenを使える。広告は表示されない。Gomila氏によれば、投資ファンドや大企業に対して、高機能の検索ツールを提供するのと引き換えに課金することで、当面は収益を得る計画だという。

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画像クレジット:Darren Johnson/EyeEm/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

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TechCrunch Japan

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