Walmart(ウォルマート)とTikTok(ティクトック)は米国時間12月17日朝、TikTokのソーシャルビデオアプリを使った新たなライブ販売の試験で提携すると発表した。覚えている読者もいるかと思うが、トランプ大統領令によってTikTokが米国事業を米国企業に売却しない限り米国マーケットでの事業を禁止すると脅された際、ウォールマートはTikTokへの出資を計画した。その事業禁止令はいくつかの裁判所の判断を受けて現在、棚上げされている。しかしながらウォールマートのTikTokへの関心は衰えていなかった。ソーシャルネットワークと不釣り合いなようにみえるウォールマートは、若い世代のオンライン消費者を動画、特にライブストリーミングの動画を通じて引きつけることに可能性を見出した。
それがTikTokで行う新たなテストだ。
TikTokの新しい「shoppable product(買い物できるプロダクト)」のテストでは、ウォールマートライブストリーミングの間、TikTokユーザーはTikTokアプリを離れることなくウォールマートのファッションアイテムを購入することができる。ファッションアイテムそのものは10人のTikTokクリエイターによるコンテンツの中で特集される。クリエイターのグループはMichael Le(マイケル・ル)氏が率いる。同氏のTikTokダンスは4300万人超のファンを獲得している。他のクリエイターにはDevan Anderson(デヴァン・アンダーソン)氏、Taylor Hage(テイラー・ヘイジ)氏、Zahra Hashimee(ザハラ・ハシミー)氏ら新進気鋭のスターが含まれる。
クリエイターらは「Holiday Shop-Along Spectacular」というTikTokで開催される特別イベントに参加する。このイベントは米国東部時間12月18日午後8時にウォールマートのTikTokプロフィールで展開される。
イベントの間、クリエイターはそれぞれのスタイルでお気に入りのウォールマートファッションを披露する。一部のクリエイターはファンにクローゼットの中を垣間見せ、また別のクリエイターはリビンングルームをファッションショーの花道に仕立てたり、ファッショナブルなダンス披露したりするかもしれない、とウォールマートは話す。
TikTokユーザーが特集されたファッションアイテムを購入する方法は2通りある。
プロダクトがスクリーンに表示されると、ユーザーがタップしてアイテムをカートに入れられるピンが登場する。そしてユーザーはモバイルチェックアウトへと誘導される。あるいは、イベント終了時にショッピングカートのピンをタップして特集されたアイテムをチェックし、購入したいものを選ぶこともできる。
イベントを閲覧できなくても、TikTokユーザーはイベント終了後にウォールマートのTikTokプロフィールからアイテムを購入することが可能だ。
「当社の顧客のために買い物エクスペリエンスを刷新する方法を我々は常に模索しています」とウォールマートの米国担当マーケティング責任者William White(ウィリアム・ホワイト)氏は声明文で述べた。「顧客にさらに良いサービスを提供する新しい方法を探すために、我々はこれまで以上に迅速に動いています。当社のコミュニティのためにこのイベントを作り出しました。多様なクリエイターの暮らしや情熱、スタイルが反映されるため、視聴者は誰であれ、どんな服装を好むかにかかわらずイベントを楽しめるでしょう」と付け加えた。
ウォールマートは、TikTokプラットフォームで1年以上ブランドを展開していて(実際、ModernRetailがこのほど詳細に報じたレポートによると、ウォールマートはTikTokビデオの制作を従業員に課したりした)、モバイルショッピングで提携するというアイデアは直近の買収交渉の結果出てきたものではないと述べた。
ウォールマートはまたTechCrunchに対し、今回は合同テストという位置付けであり、アプリを通じての販売でTikTokとの売上高の共有はなく、手数料も発生しないと述べた。
TikTokが買い物できるビデオを手がけるのは今回が初めてではない。
同社は最近、この分野を開拓しており、2019年はハッシュタグに買い物の要素を加えたHashtag Challenge Plusを立ち上げた。ビデオ視聴者をTikTok内の買い物サイトに導くものだ。今年は、消費者がTikTok上に投稿されたリンクを通じて購入できる「Shop Now」ボタンをLevi’sのようなブランドが展開した。そして2020年秋の大きなディールとして、TikTokはソーシャルコマースでShopifyと正式に提携した。この提携によりShopifyの販売業者はShopifyのダッシュボードから直接TikTokマーケティングキャンペーンを展開することができる。
若いユーザーは楽しむため、そして買い物するためにインフルエンサーやオンラインビデオに目を向けていて、ライブストリーミング販売は急成長中の儲けが多いマーケットでもある。
程度の差はあるが主要なテック企業もこの分野に投資している。Facebook(未訳記事、フェイスブック)とInstagramで積極的に推進しており、Google(グーグル)はR&D部門を通じて、Amazon(アマゾン)はQVC(24時間テレビショッピング放送チャンネル)のようなAmazon Liveで、Alibaba(アリババ)はAliExpressで、またJD.comやPinduoduo、WeChat、そしてTikTokの中国版アプリDouyinなども投資している。
しかし、TikTokはインフルエンサーがすでに彼らのお気に入りのアイテムやファッション、スタイルを見せびらかしている場所であるために、TikTokにとってライブストリーミング販売は自然な流れだ。
「TikTokではコミュニティにクリエイティビティを与え、喜びをもたらし、価値を加える新たな方法を常に模索しています」と同社のグローバルビジネスソリューション担当副社長Blake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏は話した。「クリエイターとブランドはTikTok Liveを通じてオーディエンスとつながるためにクリエイティブな場所を見つけました。我々のコミュニティが好きなブランドを発見してそれに関わることができるようにするために、このインタラクティブなエクスペリエンスをさらに刷新することを楽しみにしています」。
そして「ブランドは今年1年を通してコミュニティに大きな影響を及ぼしました。ウォールマートが有意義にコミュニティに従事するためにTikTokのクリエイティビティとこの手のものとしては初となるエクスペリエンスを受け入れることに心躍らせています」と語った。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Walmart、TikTok、ネットショッピング
画像クレジット:TechCrunch
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(翻訳:Mizoguchi)