この男の行動を知るものには驚きではなかったというが、FBIは製薬ベンチャーのCEO、マーティン・シュクレリを詐欺の容疑で逮捕した。シュクレリは、HIV/AIDSなどによる免疫不全に大きな効果のある薬品を1錠あたり13.5ドルから$750ドルに値上げしたことで世界に広く知られるようになった。FBIによれば逮捕容疑は多数の証券取引法規に違反したことだという。
FBIの発表によれば、今回の逮捕はAIDS薬の価格水増しとは直接関係ないようだ。同名の製薬会社が販売するDaraprimは免疫不全症候群やガンに効果があり、1953年から販売されていた。この8月にシュクレリはDaraprimを買収しチューリング・ファーマスーティカルズ(Turing Pharmaceuticals)の傘下に収めた。Bloomberg Businessの記事によると、.検察当局はシュクレリが2011年から2014年にかけて経営していたRetrophinの株式を不当に利用したという疑いを持っている。
Newsweekの9月の記事は、「シュクレリの容疑は(古い薬を不当に値上げしたことより)はるかに重大かつ複雑である可能性がある」と報じていた。同誌は情報源の証言を引用してシュクレリは「金とみれば取り込み、公表すべき事実とみれば隠し、証券法規とみれば破った」書いている。シュクレリにかけられている容疑はあまりに多数でどこから説明を始めていいか迷うほどだそうだ。
シュクレリは2014年にRetrophinから解雇され、後に取締役会から訴えられている。
Daraprimの価格吊り上げでシュクレリはドナルド・トランプにさえ攻撃されるほどの「世界でもっとも嫌われる男」になったが、本人はいっこうに気にする様子もなかった。むしろ世間の注目を楽しんでいるふうで、Twitterにはブガッティ・ヴェイロンを背景にした自画撮りを投稿し、 われわれのLoizos記者も報じたように、 Daraprimを値下げすると空約束を繰り返した。そのかたわら、シュクレリはウータンクランの最新アルバムの支援に数百万ドルも投じ、「ものごとがうまくいかなくなったときの備えに(同グループの)“Once Upon A Time In Shaolin”のプライベート・アルバムに投資した」のだとうそぶいていた。であれば、シュクレリは今そのアルバムを聞いていることだろう。
TechCrunchはシュクレリのTuring Pharmaceuticalsにコメントを求めている。
画像: Andrew Burton/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)