エネルギー貯蔵システム開発のFluenceのバリュエーションが1030億円以上に

カタール投資庁(QIA)は、エネルギー貯蔵システムインテグレーターであり、電力管理技術開発会社であるFluence(フルーエンス)に1億2500万ドル(約130億円)を投資する。この取引におけるバリュエーションは10億ドル(約1030億円)を超える。

Fluenceは米国の独立系発電事業者であるAES Corp(AESコープ)とドイツの産業コングロマリットSiemens(シーメンス)の合弁事業。同社の戦略および提携担当副社長であるMarek Wolek(マレク・ウォレク)氏によると、取引前にすでに9億ドル(約930億円)の評価がついていた。

Fluenceは新しく得た現金でソフトウェアとサービスの開発および取得を目指す、とウォレク氏は話す。同社の中核クライアントである電力会社や独立系発電事業者に提供するメニューを増やせるという。

そして、同社が公開市場から追加の流動性を求めるまでそれほど長くはないかもしれない、とウォレク氏は語る。QIAはすでにバッテリー会社のQuantumScapeに投資していると同氏は指摘した。QuantumScapeは2020年11月下旬に特別目的買収会社に買収されて以来、株価が急上昇している。

QIAによる投資後、AESとSiemensは引き続き過半数を持つ株主として留まる。2社はそれぞれ44%の持ち分を保有する。

「世界的な気候変動の問題は、世界中の技術者と投資家の能力を組み合わせて初めて取り組めるものだと信じています」と、Fluenceの最高経営責任者であるManuel Perez Dubuc(マニュエル・ペレス・デュブク)氏は声明で述べた。「エネルギー貯蔵は脱炭素グリッドの要です。QIAを国際的な株主として加えることで、Fluenceはさらに迅速にイノベーションを起こし、大規模バッテリーを基礎とするエネルギー貯蔵の巨大な世界市場に打って出ることができます」

ワンプラネット・ソブリンウェルスファンド・イニシアチブの創設メンバー6社の1つであるQIAは数十億ドル(数千億円)規模の投資ビークルだ。Fluenceのような気候関連のテック企業への支援継続に必要な多額の資本を有する。

ウォレク氏によると、Fluenceはすでに約5ギガワットのエネルギー貯蔵および管理システムを幅広い顧客に導入している。

Fluenceは自社とそのエネルギー貯蔵事業を世界的な脱炭素化の重要な一部分であると考えている、とウォレク氏はいう。脱炭素化は気候変動との戦いで不可欠だ。だが、必要な技術は電力の貯蔵だけではない。

「エネルギー市場と1つのテクノロジーを見て、その1つのテクノロジーがすべてを解決するというのは難しい」とウォレク氏は述べる。

むしろ同社の役割は、同社が展開するバッテリー技術を、業界や社会が必要とする電力供給に求められる他の技術と統合できるようにすることだ、とウォレク氏はいう。「私たちは絶対にバッテリーベースのストレージの専門家になりたいと思っています」とウォレク氏は述べる。「同時に、ストレージにとどまらず給電機能を拡張するため、デジタル面にかなりの投資を行っています」。

それは将来、水素燃料プロジェクトの開発者のような他のエネルギー供給業者と協力することを意味するかもしれない、と同氏はいう。

「私たちはバッテリー側のエネルギーの部分をマスターしたいのです」とウォレク氏は会社の究極の目標について語った。

その目標は同社をElon Musk(イーロン・マスク)氏のTesla(テスラ)が手がけるエネルギー事業と衝突するコースに置くことになるかもしれない。

現在のFluenceの10億ドル(約1030億円)という評価額と、QuantumScapeの366億ドル(約3兆7700億円)という時価総額は、テスラの価値が6500億ドル(約67兆円)を超えると見られている理由を説明している。

カテゴリー:EnviroTech
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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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