チームのエンゲージメントを可視化するSlackボット「A;(エー)」を開発するLaboratikは、2016年12月に開始したクローズドβテストを終了し、本日よりオープンβ版を無償公開すると発表した。同時に新機能の追加も発表している。
インターネットの普及とデバイスの小型化により現代の働き方は多様化し、時間や場所に捕らわれない働き方を実践するフリーランサーやリモートワーカーたちが増えている。
ランサーズが2017年3月に公開した「フリーランス実態調査2017」によれば、2017年における日本のフリーランス人口は1122万人(前年比5%増加)で、これは労働人口全体の17%に相当する。また、米国のフリーランス人口は5500万人で、全体の35%がフリーランサーであるという計算だ。
そんななか急速に普及が進んだのが、Slackをはじめとするコミュニケーションツール。僕たちTechCrunch Japanも毎日コミュニケーション・ツールを利用していて、離れた場所にいることも多いライター/翻訳者ネットワークを支えるツールとして欠かせない存在だ。
また、コミュニケーション・ツールだけでなく、社内の「人」に関するさまざまな業務をテクノロジーによって効率化・改善する”HRテック”にも注目が集まっている。2017年3月に開催されたTechCrunch Schoolでは、HRテックの今後について熱いディスカッションが繰り広げられた。
本日からオープンβ版を無償公開したA;も、このHRテック領域のサービスの1つだ。
Slackと連携して利用するA;は、自然言語処理を介してチャット中の会話を解析し、チームのエンゲージメント(関与度や熱意)を可視化するサービス。会話のポジティブ/ネガティブ度を解析したり、メンバーのチャット上での発話数や、メンタルのバイオリズムを把握したりすることができる。
また、Slackを経由してGoogleカレンダーやGitHubなど他サービスとも連携でき、スケジュールや開発進捗を自動で記録することも可能だ。現在、A;は日本語と英語の2言語版が提供されている。
オープンβ公開と同時に発表された新機能では、チームの誰と誰がコミュニケーションが多く、どのチャンネルで議論が盛り上がっているかなどを定量化して評価する。これにより、チーム内のコミュニケーションの偏りを検知したり、誰が積極的に参加しているかを知ることができるという。
無償のクローズドβテストにはリコー、サイバーエージェント、Kaizen Platformなど230社(5月末時点)が参加。Laboratik代表の三浦豊史氏は、「正式リリース後は、米国マーケットの水準(5〜6ドル)に合わせて社員1人あたり数ドル単位での課金を考えている。また、大手の企業とはカスタマイズしたツールを一緒に開発・導入していく可能性もある」と話す。
A;をバックエンドとして支えるのが、Laboratikが独自に開発した「GRATT(グラット)」だ。これは、複数の言語解析技術によってチャットの文脈や感情の強弱を分析する解析エンジン。
三浦氏によれば、今後Laboratikは「GRATTをA;だけでなく幅広いプラットフォームで作動する解析エンジンとして拡大していく」という。
A;のオープンβ版はここから利用可能できる。