今日(米国時間7/22)、無料のオンライン語学学習サービスのDuolingoは、語学能力の検定を行うTest Centerをスタートさせた。 ここで実施される英語運用能力試験(English Proficiency Exam)は受験者の能力を10段階で評価する。同センターは今後、英語以外の言語についても試験を拡張していく。
当面この試験は無料だが、試験結果を多くの企業が求人の際の資格として認定するようになれば、20ドルの受験料を課す計画だ。
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)のような英語能力検定はアメリカに留学を希望する学生のほとんど全員が受験しなければならないので、巨大な独占企業と化している。Duolingoは、この独占的な英語検定ビジネスに直接戦いを挑む最初のスタートアップだろう。
TOEFLのような語学検定を受験するのは金がかかり、また時間を食う。私は今週、Duolingoのファウンダー、Luis von Ahnにインタビューしたが、「〔TOEFLなどの〕受験者の多くは遠く離れた開催都市まで旅行しなければならない。〔グアテマラ生まれの〕私自身、アメリカに留学する際に、TOEFLを受験するために別の国に行かねばならなかった」という。
TOEFLの受験を必要とするのは留学生ばかりではない。多くの大企業が就労ビザの保証人となる前にTOEFLで所定の成績を収めることを要求している。
こうしたTOEFLなどの独占を打ち破るのがDuolingoの目標だ。当初、Duolingoはこうした事業を計画していたわけではなかったが、「自分たちが本当に語学を身につけたことを証明して欲しい」と訴えるDuolingoのユーザーがますます増えてきたのだという。「そこでわれわれは語学検定ビジネスについて調査を始めた。すると現在のプロセスには非常に多くの問題があることがわかった。TOEFLのようなテストを実施するコストはほんのわずかなはずなのに、事実上独占事業であるために巨額の利益が上乗せされている。もちろんそれが独占というものだ」とvon Ahnは語った。
現在の語学検定では不正行為もまた深刻な問題だ。往々にして受験者は見た目が多少似ている替え玉を頼む。また試験監督員が賄賂を受け取って不正を行うこともある。不正防止はDuolingoが検定試験を開発する際にもっとも重視した点の一つだ。Duolongの検定ではパソコンないしスマートフォンのマイクとカメラを通じて音声と映像で受験者を逐一記録する。受験終了後に、Duolingoの監督員が不正がなかったかこの記録をチェックする。このビデオは受験者のデジタル身元証明としても用いられるので、替え玉受験が行われた場合、大学当局は簡単に見破れるわけだ。
この労働集約的な不正防止策がDuolingoの検定ビジネス参入にあたっての最大のコスト要因だった。しかしDuolingoでは、多大の出費となることは覚悟で、試験を無料で実施することにした。この間、Duoling検定の普及と、これを資格要件として採用する大学、企業などのパートナーの獲得に務めるという。
現在、Ahnが准教授を務めるCarnegie Mellon大学が、Duolingoと協力して語学能力の検証手法の改良について研究を行っている。AUniversity of Pittsburghの研究によると、Duolingoのテストの成績はTOEFLの成績ときわめて高い相関を示しているという。しかしDuolingo検定の有効性が多くの大学に認められるようになるまでにはまだ少々時間がかかるだろう。
Duolingoはまたオンラインの請負業務仲介サービス、oDeskと提携し、求職者のプロフィールにテスト成績を表示している。またLinkedInも、Duolingのテスト成績を詳細プロフィールに表示することに協力している。
テスト受験のためのモバイル・アプリは、現在Android版とウェブ版のみだが、iOS版も開発中で、Ahnによれば9月には公開される予定だという。
〔日本語版〕 この4月にイギリスでTOEFL試験での組織的不正が発覚し、TOEICでのイギリスビザ、取得不可に TOEFLもダメになるという事件があった。この記事にあるように個別にビデオ記録が残るオンライン試験の方が不正が困難となるかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)