オープンソースのブラウザーフィンガープリント技術の商用化を目指すFingerprintJSが4億円相当を調達

シカゴの連続起業家Dan Pinto(ダン・ピント)氏が新たな資金を調達して、新しい企業を立ち上げた。それにより彼は、ウェブにおいて最も困難な問題の1つである詐欺防止を解決することを目的としてした数年前のオープンソースプロジェクトの商業化を目指す。

ピント氏が2020年1月に立ち上げたFingerprintJSは、あらゆるアプリのためのサービスとして、ブラウザのフィンガープリントを提供する新しいタイプのツールキットだという。

同社の元となったオープンソースのプロジェクトは、すでに500万回ダウンロードされ、8000のウェブサイトがサービスを利用している。FingerprintJSによると、数百の有料顧客がいる。そのブラウザーフィンガープリンティング技術は、さまざまな企業が数年前から利用している。

FingerprintJSは、市販されているのと同じキャンバスフィンガープリント、オーディオサンプリング、WebGLフィンガープリント、フォント検出、ブラウザプラグインプロービング技術を利用しているが、クッキーを使用せずにブラウザのユニークな識別子を生成することで、特定のデバイスからのフィンガープリントを非識別化している。企業はこの識別子をデータベースに保存し、その行動を追跡することができる、と同社はウェブサイト上で説明している。

プロジェクトのプロジェクトのGitHubページによると、このオープンソースプロジェクトは5年前にValentin Vasilyev(バレンティン・ヴァシリエフ)氏によって始められたものだという。ヴァシリエフ氏とピント氏は、ピント氏最後のスタートアップであるMachinioで一緒に仕事をしていたが、同社は2018年に売却された。2人は2020年1月にヴァシリエフ氏のプロジェクトを中心にビジネスを立ち上げ、プロジェクトの事業化を支援するために400万ドル(約4億2000万円)の資金調達を行っている。

「オープンソースのコミュニティが、これまでの成功の鍵だった。今後もそれをベースとして構築を続け、あくまでもデベロッパーファーストでいきたい。ソフトウェアエンジニアは技術を知っているため、私たちの製品が効果的に詐欺を防ぐことも理解し始めている」とヴァシリエフ氏は声明で話している。

FingerprintJSの声明によると、投資家はNexus Venture Partners、これにHack VC、Entrepreneur Roundtable AcceleratorのファンドであるRemarkable Ventures、そしてエンジェル投資家でIndeedの会長で共同創業者であるRony Kahan(ロニー・カハン)氏が参加した。

Nexus Venture PartnersのトップであるAbhishek Sharma(アビシェーク・シャルマ)氏は、「FingerprintJSのAPIを使って開発者は、自分のコードに詐欺の検出と防止機能を迅速に組み込むことができる。FingerprintJSのチームとのパートナーシップがうれしいのは、彼らのプロダクト優先でボトムアップの技術開発が素晴らしいからだ。これまでそれらは、トップダウンのエンタープライズへの売り込みに依存していた」と声明で述べている。

今後、FingerprintJSの進路の邪魔になりそうなのが、EU一般データ保護規則(GDPR)だ。規制の中には、ブラウザーフィンガープリントの一部技術の使用を禁じている条項がある。また、ChromeやFirefox、Safariなどのブラウザーにはウェブサイトがオンラインのビジターを追跡するために使ってもよいデータの量を制限する独自のコントロールがある。

しかし、ピント氏は負けていない。「私たちには、Stripeが決済処理で行ってきたように後付けではなく、顧客がアプリケーションに不正防止を構築できるようにすることで、不正技術市場を混乱させるユニークな機会がある。オンライン詐欺は、悪意のあるユーザーが詐欺を犯すために常に身を隠そうとするシェルゲームだと考えて欲しい。既存のソリューションは訪問者が誰であるかを理解しようとせずに、訪問者ごとに詐欺スコアを生成しようとする。私たちは悪意のあるユーザーを一意に識別することにフォーカスしており、それによって根本的な詐欺問題を直接解決する」とピント氏は語っている。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:FingerprintJS資金調達フィンガープリント

画像クレジット:ByoungJoo / Getty Images
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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