Kanye West(カニエ・ウエスト)、あるいはかつてそう呼ばれていた「Ye」は、10枚目のスタジオアルバム「Donda」のプロモーションに全力で取り組んでいる。そのタイトルは、亡くなった母親のDonda West(ドンダ・ウェスト)にちなんで命名されたもので、7月にはアトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムで大規模なリスニング・パーティーが開催された(そしてウエストは、そのロッカールームに滞在し続けた)。今後、故郷のシカゴで開催されるリスニング・パーティーのために、このラッパーは幼少期を過ごしたソルジャーフィールドの家を再建しているところだ
そして今回のアルバム発売に合わせ、ウエストはYeezy Techブランドから200ドル(約2万2000円)の音楽ガジェット「Stem Player(ステム・プレイヤー)」を発売する。公式サイトによれば、このプロダクトはそれぞれのステム(茎)、つまりボーカル、ベース、サンプリング音、ドラムなど、個々の音の要素が分離するように設計されており、別々にエフェクトをかけたり、バランスをリミックスさせたりすることができるという。
このデバイスには、新アルバムの曲があらかじめ収録された状態で販売されるようだ。サイトのFAQには、この製品は「Donda」に合わせて発売されるが、他の音楽にも使用できると付記されている。
興味深いことに、このデバイスは、ロンドンを拠点とするスタートアップ企業のKanoと共同で開発された。同社は、子どもたちがプログラミングなどを学ぶためのさまざまなSTEM(科学・技術・工学・数学)教育向け製品を販売している。Kanoは2019年に、Disney(ディズニー)ブランドのデバイスを多数発売したにもかかわらず、レイオフに苦しんでいた。
同社はここにきて興味深い新たな生命線を見出したようで、この製品はシリコンスキンの外装の背面に「Yeezy Tech x Kano」と、Kanoの社名もクレジットされている。
ウェストは、2019年に前作「Jesus Is King」を発表した際のインタビューで、このデバイス(またはその前身)を名指しで紹介している。当時は、デザイン会社であるTeenage Engineering(ティーンエイジ・エンジニアリング)とのコラボレーションだったようだ。「このアルバムとその前のアルバムのためにTeenage Engineeringと一緒にデザインしたこのポータブル・ステム・プレイヤーは、福音を広めるためのものだ」とウエストは当時、DJのZane Lowe(ゼイン・ロウ)に語っていた。
この製品は2021年夏に出荷される予定だ。
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画像クレジット:Kanye West
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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)