カード取引プラットフォームAltが約85億円調達、代替資産カテゴリー拡大とモバイルアプリを準備中

3月にAlt(アルト)を取材したとき、同社は代替資産プラットフォームのために3100万ドル(約35億3500万円)を調達したばかりだった。同プラットフォームはこれまで、主に高価値のスポーツカードの調査、取引、安全管理を求める人々に利用されてきた。

それからわずか数カ月後、Altは、一流の投資家やプロスポーツ選手から7500万ドル(85億5400万円)のシリーズBを調達し、大規模な雇用を行い、モバイルアプリの立ち上げを準備している。その一方で、カバーする代替資産の範囲を拡大し始めている。

Altは当初、創業者のLeore Avidar(レオレ・アヴィダー)氏がよく知るスポーツカードというカテゴリーに焦点を当てていたが、最近では他の種類のトレーディングカードにも対応している。Altの取引所を覗いてみると、Charizards(リザードン)やYu-Gi-Oh!(遊戯王)の初版カードに加え、レアなKobe(コービー)氏やKaepernick(ケパーニック)氏のサイン入りカードなどが混ざっている。将来的には、カードだけでなく、他の代替資産への展開も視野に入れている。

「私たちの目標はスニーカー、時計からNFT製品まで扱うことです」とアヴィダー氏は語っており、スポーツカードを彼らの「証明書」として言及してくれた。

Altでカードを販売するためには、まずPSA、BGS、SGCといった定評あるグレーディング団体の審査を受け、その後、同社がよく「カードのFort Knox(フォート・ノックス)」と呼んでいる、光と温度をコントロールし、防火対策を施したAltの施設「金庫」へ送られる。ここでは、購入者から購入者へ、所有権を即座に移すことができる(Altは販売額の1.5%を受け取る)。デフォルトでは、購入したカードはこの金庫に保管される。所有者は自由にカードを金庫から取り出して発送することができるが、アヴィダー氏によると「99%」のカードは取引後も金庫に保管されているそうだ。彼らはほとんどの場合、これらのカードを展示するためではなく、投資として購入している。また、Altのユーザーはこれまでに7000万ドル(約79億8200万円)相当のカードを金庫に保管していると聞いている。

Altでは、カードに関するデータの多くを共有している。市場動向のページでは、ここ数週間で最も人気のあったカテゴリーを表示し、過去7日間でカードの価値が最も大きく変動したプレイヤーを紹介している。個々のリストには、そのカードが過去1年間に販売された価格が表示され「Altバリュー」と呼ばれる、Altが入手した最近の取引データに基づくZestimate(ゼスティメイト)スタイルの価値推定値が表示される。

Altのチームは急速に成長しており、アヴィダー氏によると、現在の従業員数は約60名だそうだ。特に最近では、eBay(イーベイ)のコレクターズアイテムおよびトレーディングカード部門のゼネラルマネージャーを務めていたNicole Colombo(ニコル・コロンボ)氏を初代社長として採用している。

では、同社のロードマップで次の課題はなんなのか?それは、モバイルアプリの立ち上げだ。これまでブラウザ上で展開してきたAltは、今月末にiOSとAndroidのアプリをリリースする予定だ。トップ画像はそのアプリのイメージだが、こちらの画像もある。

画像クレジット:Alt

その一方で、同社は新たな収益源を静かに模索している。それは、ユーザーがAltに保管しているカードを担保にして、ユーザーにお金を貸すという機能だ。アヴィダー氏は、銀行は一般的にスポーツカードのコレクションのようなものを「本物の担保」とは見なさないと指摘している。一方で同社は、あるカードが日々どれくらいの価値があるのかをかなり深く理解しており、カードはAltの金庫に保管されているため、カードが突然消えたり破損したりすることはないと想定している。このプログラムを「Alt Lending(アルト融資)」と呼んでいるが、現在はベータ版で、一部のユーザーにしか公開されていないとのことだ。

今回のラウンドは「3億2500万ドル(約370億円)以上」の評価額で調達されたとのことだ。今回のラウンドは、Spearhead(スピアヘッド)(Jeff Fagnan[ジェフ・ファグナン]氏とNaval Ravikant[ナヴァル・ラヴィカント]氏が共同で設立した新しいタイプのファンドだ。Spearhedに関しての情報はこちら)。また、Seven Seven Six(セブン・セブン・シックス)、Vibe Capital(バイブ・キャピタル)、Breyer Capital(ブライア・キャピタル)、Shrug Capital(シュラグ・キャピタル)、Apollo Projects(アポロ・プロジェクト)(Max[マックス]氏とSam Altman[サム・アルトマン]氏の会社で、別の似たような名前の新しい親会社のことではない)、Hyperguap(ハイパーグァップ)、A*、および多数の個人投資家(Tom Brady[トム・ブレイディ]氏、Giannis Antetokounmpo[ヤニス・アデトクンポ]氏、Alex Morgan[アレックス・モーガン]氏、Candace Parker[キャンデース・パーカー]氏、Marlon Humphrey[マーロン・ハンフリー]氏など、スポーツ界の大物を含む)が支援した。

画像クレジット:Alt

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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TechCrunch Japan

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