TechCrunchは以前、スマートコントラクトのコンセプトの下、ブロックチェーン技術を使用して実際の不動産販売をスムーズにする企業であるPropyを記事で取り上げた。Propyは、こうした機能を最初に実現したブロックチェーンスタートアップだ。現在同社は、実際の物件をNFTとしてオークションにかけることで、その境界線を再び押し広げようとしている。これを単なる人目を引くための行為だと片付けたい人もいるかもしれないが、同イベントは合法的に行うことができることを強調するために企画されたものだ。そしてもちろん、Propyは間違いなく挑戦に向かうだろう。
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今回オークションにかけられているNFTは、ウクライナのキエフにあるワンベッドルームの近代的な新築アパートメントに付随するものとなっている。Propyが初のブロックチェーンベースの不動産販売で歴史を築いた物件だ。
Propyが作成したNFTは、不動産の実際の所有権を移転するという。あまり詳しくないという人のために説明すると、NFT(非代替性トークン)は、芸術作品、音楽、その他の収集物など、固有の資産を表現する暗号化された「トークン」で、所有権をデジタルで証明する。NFTは、Banksy(バンクシー)のアート作品を焼却したものをはじめ、あらゆるものに応用できる可能性を秘めた暗号の世界に光を当てた。
オークションでアパートメントのNFTを落札すると、所有権譲渡書類へのアクセス権、キエフの人気グラフィティアーティストChizzによるデジタルアート作品のNFT(デジタルアートの物理的な絵が物件の部屋の壁に描かれている)、アパートメントの写真を獲得する。しかし、明らかにここではアパートメントが主要資産である。
オークション自体は24時間かけて行われ、開始価格は2万ドル(約218万円)からとなっている。NFTによる売却の詳細はこちらで確認できる。
当該アパートメントは、まさに本ニュースサイトTechCrunchの創設者であり、現在Arrington XRP Capitalの暗号投資家であるMichael Arrington(マイケル・アーリントン)氏が現在所有している。
Propyはこれまでに10億ドル(約1091億円)相当の取引を処理したとしており、その投資家にはアーリントン氏の他、DFJの元創業者Tim Draper(ティム・ドレイパー)氏も名を連ねる。
PropyのCEOであるNatalia Karayaneva(ナタリア・カラヤネバ)氏は次のように述べている。「このNFTは歴史に残るでしょう。ブロックチェーン技術と非代替性トークン(NFT)の将来性を活用し、分権化された金融経済における『自動運転型』不動産取引と不動産参加を実現する上で、Propyにとって大きなマイルストーンとなります」。
今回の取引の概要を説明しよう。アーリントン氏は、NFTの弁護士が作成した、将来の買い手に所有権を譲渡するための法的書類に署名済みである。PropyはNFTオークションを行い、暗号資産で支払いを受ける。オークションの落札者は、KYCの詳細を入力後、1分以内に物件の所有者となる。
キエフの不動産は米国を拠点とする事業体が所有している。オークションが完了すると、NFTの新しい所有者は事業体の所有者となり、不動産自体の所有者となる。このプロセスは、不動産にアタッチされたNFTが再販売されるたびに繰り返される。
筆者とのインタビューで、カラヤネバ氏は次のように語った。「私たちはブレーンストーミングを行ってきました。今回のことは2017年のホワイトペーパーの自然な展開のように思えます。私たちは実際、不動産、不動産を経由するもの、そしてすでにNFTに着手し始めていますが、独自のスマートコントラクトを活用してそれらの取引を行っています。しかしこのNFTのコンセプトは、2つのウォレット間で不動産をピア・ツー・ピアで転送できる、異なるアプローチを提供します」。
「登記簿上の所有者名を変更する必要はありません。これは米国だけでなく多くの国にも当てはまります。米国では、所有者のプライバシーを保護するためにLLCを通じて不動産を購入するという考え方があります。このモデルは米国でうまく機能し、全体に広がっていくでしょう」。
同じインタビューの中でアーリントン氏は次のように付け加えた。「これを暗号の観点からとらえると、DeFiがどのようにしてクレジット市場に接続されるかを私たちは見てきました。NFTやDeFiの資産を持っていれば、仲介人なしで借りることが可能です。実物の不動産の場合は、今のところ仲介人なしでは借りる方法がありません。銀行を経由して、住宅ローンなどを取得する必要があるからです。それはまた、速度と所要時間の面でのあらゆるコストにも影響します」。
「不動産やその他の実際の資産をDeFiにつなぐ方法が見つかれば、その周りに創出されるクレジットの量は、最終的には数兆ドル(約数百兆円)に達するでしょう。それは実現されるべきだと私は考えます。これを取り巻く問題は、法律と規制です【略】これをめぐる法的な問題は難しく、Propyはそのために多くの取り組みを重ねています。それでも、実際の資産をNFTで表現するというアイデアは、純粋に取引の容易さとクレジット市場へのアクセスの容易さという観点から考えると、すばらしいアイデアだと言えるでしょう」。
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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Propy、不動産、NFT
画像クレジット:Propy
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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)