キヤノンがAIロボットカメラ「PoserShot PICK」をMakuakeでクラウドファンディング中

Canon(キヤノン)は、PowerShot PICKというおもしろいロボットカメラでAIを駆使した未来を探っている。この小さなデバイスは指定された被写体をAIで追い続け音声コマンドを受けつけたり、勝手にスナップや動画を撮ったりする。

Pickはスマート防犯カメラやFacebookのPortalに似ているが、据え置き式ではない。ユーザーがあちこち携帯したりセルフィースティックに取りつけたりすることを想定している。本体はパックのジュースほどの大きさでなので持ち運べることは間違いないが、普通のサイズのポケットに入れるのはちょっと難しい。

キヤノンはPickを通常の小売製品ではなく日本のクラウドファンディングサイト、Makuakeを通じて出資を受けつけるかたちでPICKを販売している。大胆なコンセプトの製品だけにこういうかたちで、賭けをヘッジしているらしい。ともかく当初目標とした100万円のプレッジはすぐに達成。ほぼ10倍の992万円がプレッジされ大人気となっている(とはいえ、Pickの実際の開発コストに比べればほんの一部だろう)。

Powershot Pickはマウンテンバイクに乗った男を置い続ける。「PICK…、ちょっと見ないでくれないか」「デニス、それはできないんだ」(画像クレジット:Canon)

クラウドファンディングのプロモーションビデオでは、PowerShot PICKがさまざまな状況で使用されていることが紹介される。パーティー中に顔認識で人々を撮ったり、自転車に乗っている男性を追跡するかと思えば、キッチンではリモートで起動されクッキングしているユーザーを撮影する。

これは楽しいアイデアだ。ユーザーが設定すればPickはストレートにスナップ写真を撮ってくれる。ビデオブログを撮っているなら、ユーザーがあちこち動き回っても画面にとらえ続ける。ともかく使ってみないと実感できないだろう。

撮像素子はオートフォーカスだがサイズは小さく旧世代のもので、1 / 2.3インチ1200万画素だ。F/2.8ズームレンズと手ブレ補正が組み込まれているため、かなりハードな撮影条件にも対応するだろう。ただしデバイスには再生機能がないため、出来栄えはユーザーに成果が送信されるまでわからない。

デジカメ業界が陥っている死のスパイラル、そこから脱出しようと必死なカメラ会社が考え出したバカげた袋小路デバイスなのか?それとも日頃「あーあ、誰かこれを撮ってくれていたらいいのに」と感じているユーザーのためのスマートかつ使いやすいソリューションなのか?(自動といってもコンパニオンアプリからカメラを操作することはもちろんできる)。

このデバイスで大きなチャンスだと感じるのは、ウェブカメラへの応用だ。ホームオフィスといえばいつも代わり映えしないチープな長方形が表示されるのには飽きてる人も多い。リモートワークが普及して半年以上経つ現在。、我々は「プロフェッショナルに見える」よう演出することをすっかり諦めている(まだ諦めていないなら、そうしてよい頃だ)。キッチンやベランダからリモート会議に参加してもいいだろう。AIでパン、チルトして被写体を追ってくれるスマートウェブカメラはこのリモートワーク時代に天の助けとなる。

キヤノンの実験的デバイスが、大きな実を結ぶことを願っている。そのうち我々は全員がロボットカメラをどこにでも持っていくようになるかもしれない。今のところ少々「気味が悪い」ように聞こえるかもしれないが、数年後にはすっかり当たり前になっているのではないだろうか?

Makuakeにアップされた動画はこちらになる。

 

カテゴリー:ハードウェア
タグ:CanonMakuake

画像クレジット:Canon

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(文:Devin Coldewey、翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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