アイデンティティ管理のOktaは米国時間3月3日、取引終了後に決算報告を発表し、また、同社はクラウドアイデンティティスタートアップのAuth0を65億ドル(約7020億円)の巨額で買収することも公表した。Auth0は2020年の7月にSalesforce Venturesのリードで1億2000万ドル(約130億円)を調達したときの評価額が19億2000万ドル(約2070億円)だった。
Auth0によりOktaはクラウドアイデンティティ企業を取得して、開発者がアプリケーションにアイデンティティ管理を埋め込めるようにする。同社のアイデンティティプラットフォームにとってそれは、新しい次元が加わることになる。Oktaの共同創業者でCEOのTodd McKinnon(トッド・マッキノン)氏によると、買収によって彼の企業はアイデンティティの分野をさらに広くカバーできることになり、また同時にアイデンティティが、インフラストラクチャや、コラボレーション、CRMなどのエンタープライズソフトウェアと並ぶファーストクラスのクラウドカテゴリーに格上げされることになる。
「アイデンティティも、クラウドソフトウェアの主要カテゴリーであるべきだ。アイデンティティがそうなるには、ワークフォースやカスタマーなどすべてのユースケースをカバーしなければならない。私たちのプロダクトは、伝統的にワークフォース(従業員対象)だが、新たにカスタマー(一般ユーザー対象)にもなる」とマッキノン氏はいう。
カスタマーの場合は、それは単に企業の認証システムではなくて、顧客がOkta、Auth0をバックエンドで使ってユーザーをプラットフォームに登録する。買収によりこの両方をカバーできることをマッキノン氏は喜んでいる。
Auth0の共同創業者でCEOのEugenio Pace(エウジェニオ・ペース)氏は、彼の企業とOktaとの合併がアイデンティティ管理分野における強力な組み合わせであり、これは誇張ではないと念を押し、次のように述べている。「両者が一緒になって、顧客のワークフォースとカスタマー両方のアイデンティティソリューションを提供することには、他に類のないスピードと単純性とセキュリティと信頼性とスケーラビリティがある。両者が力を合わせれば、顧客はイノベーションを加速でき、至るところで消費者と企業と従業員たちの要求に応じられるようになる」。
ペース氏と共同創業者のMatias Woloski(マティアス・ウォロスキ)氏はともにMicrosoftに在籍し、2013年にAuth0を立ち上げた。マッキノン氏は、Auth0が社員数800名の大企業である点を指摘する。2021年の売上は、2億ドル(約220億円)と予想されている。
「彼らには、柔軟性に富みAPI駆動のサービスと、開発者が求める拡張性とカスタマイズ性のある優れたデベロッパーツールを開発してきたという自負がある。思いつきでではなく、最初からの体質としてその能力がある」とマッキノン氏は考えている。
マッキノン氏によると一部重複する顧客もあるが、お互いにとって新しい顧客も多いため、それぞれに対してAuth0、Oktaを売っていくことができるという。両社の組み合わせはアイデンティティ管理のフルコースを提供できるものだと、という。
Auth0のデベロッパー重視の姿勢は、本誌のZack Whittakerが2019年に書いた記事にも現れている。
「再投資と高成長の維持を優先しているため、利益は計上しない。しかし、効率は日に日に良くなっている。顧客の獲得も、彼らへのサービスも、設計のアップデートと実装もすべて効率を上げている」。
Oktaの下で、Auth0はどう変わるのだろうか。マッキノン氏は、統合の進め方は数カ月かけて検討するが、Auth0はOktaの中の独立のユニットのように操業を続けると述べている。Auth0のユーザーは、ほっとするだろう。しかも同氏によると、2人の創業者は数年前からの仲なので、お互いに信頼関係があるとのことだ。
この間、Oktaの四半期も好調で、前年同期比で40%増の2億3470ドル(約220億円)の売上を計上したが、ウォール街はこの買収を歓迎せず、時間外で株価は6.9%下がった。
Auth0は2013年に創業され、これまで3億ドル(約320億円)ほど調達している。主な投資家はSalesforce Venturesに加え、Sapphire VenturesやBessemer Venture PartnersそしてMeritech Capital Partnersなどだ。
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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Okta、Auth0、買収
画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch
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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)