クラウド・人工知能を搭載した電力小売供給基幹システム「Odin」、運営元が11.8億円の資金調達

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2016年4月にスタートした電力自由化。これまでは地域で決められた電力会社としか契約できなかったが、いまでは契約先や料金プランを自由に選べるようになった。そのような背景から、大手通信キャリアを筆頭に電力サービスの提供に乗り出すなど小売電気事業者の数も少しずつ増えてきている。

そんな中、小売電気事業者を対象にしたサービスも誕生している。電力小売供給基幹システム「Odin(オーディン)」を展開するパネイルは2月28日、インキュベイトファンドSMBCベンチャーキャピタル大和企業投資DGインキュベーションドーガン・ベータ広島ベンチャーキャピタルみずほキャピタルYJキャピタルを引受先とする総額11.8億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

電力小売供給業務の効率化を目指す

電力小売供給基幹システムと言っても、ピンと来ない人がほとんどだろう。Odinは小売電気事業者を対象に、顧客管理や需給管理、請求管理といった電力小売業務に必要な機能を一括で提供することで、電力小売供給業務の効率化を目指すというもの。

パネイル代表取締役の名越達彦氏によると、電力自由化の開始以降、小売電気事業者の数は増え続けており、現在(2017年2月28日時点)では300社を超えているという。市場環境は大きく変化しているものの、これまで10社が独占していた領域とあってアナログな部分は多く残る。

例えば、顧客の契約状況や問い合わせ状況を一元管理できずにいたし、何より発電量と顧客の消費電力量のバランスを人の目で常に管理しなければならず、とても非効率だった。Odinはこうした問題をクラウドコンピューティング環境と人工知能を活用し、顧客管理機能、需給管理機能、請求管理機能を提供することで課題を解消。電力小売供給業務の効率化を目指している。

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CRM機能内包することで顧客情報を一元管理でき、請求書の作成、送付も全自動で行うことができる。また特筆すべきは日本初(2016年4月時点)のRubyベースで構築されていること。電力の30分確定使用量データを自動で取り込め、リアルタイムに処理できるという。

同社が提供している人工知能(AI)を活用した電力の需給予測エンジン「Odin Gungnir(オーディン グングニル)」と組み合わせれば、人を使わずとも電力の需給管理が行えるようになる。

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今後、パネイルは調達した資金をもとに、需給予測の精度向上などOdinの開発強化を行っていくとしている。

投稿者:

TechCrunch Japan

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