グレートファイアーウォールを乗り越える中国製ブラウザTuber

中国では現在、ユーザーがYouTube、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram、Google(グーグル)および他のインターネットサービスにアクセスすることができるツールを持っているが、それ以外の方法では、国内で長い間禁止されている。

最近、Tuberと呼ばれるモバイルブラウザが中国のサードパーティ製Androidストアでデビューし、iOS版のリリースも予定されている。アプリのランディングページは、YouTubeの動画のスクロールフィードを備えているほか、ユーザーが欧米で主流のインターネットサービスをアクセスできるタブも備える。

このアプリを中国のインターネットにおける前例のない「解放」と称賛する人もいれば、ブラウザに検閲のベールがかかっていることにすぐに気づいた人もいる。TechCrunchが行ったテストによると、YouTubeは政治的にセンシティブなキーワード「天安門」「習近平」で検索したが、アプリ上では何の結果も返さなかった。

アプリの使用にも責任が伴う。登録には中国の電話番号が必要なので、個人情報と結びついている。アプリの利用規約によると、ユーザーが憲法違反、国家の安全と主権の危険、噂の流布、社会的秩序の破壊、その他の現地法違反などのコンテンツを「積極的に見る、または共有する」した場合、プラットフォームはユーザーのアカウントを停止し、データ「関係当局と」を共有することができるとある。

中国政府の管轄外にあるサイトをブロックしたり、VPNを使ってGreat Firewall(グレートファイアーウォール)を回避している個人を追跡するのではなく、中国政府は現在、西側諸国のインターネットを垣間見ることができるアプリを提供している。その履歴は当局によって厳重に監視されている可能性はあるが。

アプリについての多くは、起源や背後にある動機など不明のままだ。このアプリの公式ウェブサイト(上海丰炫信息技术有限公司)の運営者は、中国のサイバーセキュリティソフトウェア大手Qihoo 360の子会社が70%を所有している。このアプリが軌道に乗るかどうかはまだわからない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ウェブブラウザーTuber

画像クレジット:Tuber

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(翻訳:TechCrunch Japan)

投稿者:

TechCrunch Japan

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