グーグルのアップデートで新型コロナワクチン接種記録と検査結果をAndroid端末に保存

Googleは、新型コロナウイルスの検査結果とワクチンカードをAndroidデバイスにデジタルで保存できるようにしている。米国時間7月1日の発表で、同社は現在、Passes APIをアップデートしており、それによりヘルスケア団体や政府機関、および公衆衛生当局が認可しているその他の団体のデベロッパーは、検査やワクチンカードの情報のデジタルバージョンを作成し、それをユーザーのデバイスに直接保存できるようになる。Passes APIは通常、搭乗券やポイントカード、ギフトカード、チケットなどをユーザーのGoogle Payウォレットに保存するために使われている。ただし今回の場合では、Google Payアプリは要らない。

Google Payアプリのない人は新型コロナウイルスカードのデジタル版をデバイスに直接保存可能で、ホーム画面のショートカットからアクセスできる。Googleにカードのコピーはないので、複数のデバイスに新型コロナウイルスのカードを保存する必要のある人は、ヘルスケアプロバイダーなどのアプリからそれぞれにダウンロードしなければならない。

カードの上部にはヘルスケアプロバイダーのロゴや名前があり、その下に本人の名前と誕生日、そしてワクチンのメーカーや接種または検査した日付などの情報がある。Googleが提供している文書によると、ヘルスケアプロバイダーや関連団体は、カードをメールやテキストメッセージ、モバイルのウェブサイト、アプリなどからダウンロードできることをユーザーに伝えてもよい。

事例写真でGoogleは、ロサンゼルス郡で患者管理サービスを提供しているHealthvanaの新型コロナウイルスワクチンカードを例示している。ただしこの新しい技術に関心があったり採用する計画のあるヘルスケアプロバイダーの案内はない。この件でGoogleに問い合わせると、すでに大手のパートナーや州からの利用申し込みはあるが、現時点ではその名前を公表する許可がないという。数週間後に、いくつかの名前が公表されるようだ。

Passes APIが更新されても、Androidのユーザー自身が新型コロナウイルスのワクチンカードのデジタル版を作れるわけではない。これまで多くの人が、バックアップの手段としてカードの写真を撮ったり、良くない例としてカードをラミネートしていた。2回目以降の接種でもカードが必要なので、ラミネートはしない方が良い。

APIの更新では、デベロッパーが自分のシステムにある新型コロナウイルスの検査や予防接種のデータを、Androidデバイス上のローカルなデジタルカードにエクスポートするツールを作れるようになる。なるべく広く使われているデジタルカードを選んで採用することが、デベロッパーの仕事になる。

この機能の利用には、Androidのバージョンが5以上、そしてデバイスがGoogleの真正のアプリを使っていることを証明するライセンスプログラムであるPlay Protectの証明が必要だ。ユーザーはまた、セキュリティを確保するために、画面をロック画面にセットする必要がある。

Googleによると、APIのアップデートは米国に始まり、その後、他の国でも行われる。

ワクチンカードのデジタル化では、米国は他の国に後れを取っている。今日では、個人のワクチン接種状態や検査結果、発病後の回復状態などを示すEUの新型コロナウイルス証明書が使われている。そのEUDCCと呼ばれる証明はすべてのEU加盟国が認識し、国境を越える旅を可能にする。またイスラエルは2021年の初めにワクチンパスポートというものを発行して、予防接種が要件となっている場所で提示する「通行証」を提供している。日本も、海外旅行用のワクチンパスポートを2021年7月中に発行するようだ。

米国では、ごく一部の州がワクチン証明アプリを提供している。その他の多くの州は、ワクチンパスポートそのものを否定したり、それが政治問題になっているので不採用を検討している。

Googleのデジタルワクチンカードもこんな状況を反映して、紙のカードのデジタルコピーだ。政府のその他の計画との連係はなく、「ワクチンパスポート」でもない。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Googleワクチン新型コロナウイルスアメリカ

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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