グーグルはNest Hub MaxでEcho Showに真っ向から挑む

オリジナルのNest Hub(旧Google Home)で、僕がすぐさま気に入った素晴らしい特徴が2つある。コンパクトサイズであること、そしてカメラが付いていないことだ。新しいNest Maxでは、こうした2つの特徴の逆を採用した。

Echo Showの代替選択肢となったモデルをリリースした後、Google(グーグル)はMaxでAmazonの旗艦スマートスクリーンに真っ向から挑んでいる。前の小型モデルから得たことを取り込み、その一方で新たなユースケースを盛り込んだ。

デザインに関していえば、Googleはあまり手を加えなかった。7インチから10インチへと大きくなっているものの、MaxはHubにそっくりだ。ファブリックスピーカーのベースの上におなじみのタブレットが載っている。シンプルで目立った特徴はなく、ほとんどの室内装飾とマッチする。LenovoがGoogleにアシスタントディスレプイで挑んできたが、これまでのところNestのラインアップがこのカテゴリーで最も素敵な外観のプロダクトだと僕は思う。

カメラを搭載したことは、いくつかの理由で決定的な違いだ。最大の理由は、もちろんセキュリティだ。オリジナルのHubではあえて会話にカメラを使うことを避けた。その理由はシンプルだ。ナイトスタンドで使用するためのプロダクトだったからだ。もちろん、プライバシーには常にリスクがつきまとうが、多くの人にとってクラウドにつながったカメラを寝室に持ち込むことはさらなるリスクを背負い込むようなものだ。

Facebookは、カメラを搭載したPortalデバイスをプライバシースキャンダルの最中に立ち上げた時、大変な面倒に足を突っ込むことになった。にもかかわらず、GoogleはHub Maxで同じ流れに乗った。プライバシーに関するユーザーの懸念を和らげるためにできる限りのことをしていると考えてのことかもしれない。

物理的なシャッターは素早く簡単にプライバシーを確保できる方法で手っ取り早く使える。Facebookすらユーザーの懸念をなくそうと、クリップオン式のシャッターを加えた。正直なところ、Googleが同様の方法をとらなかったのは不可解だ。

もちろん後部には、マイクとカメラをオフにするスイッチがある。カメラがオンになっているときはその横にあるライトが赤く光る。カメラオフ、または別のデバイスでの録画を意味する赤いライトには別の目的があるのだろうと推測する。

しかしカメラを搭載するというGoogleの決断は気まぐれ的なものではない。実際のところ、一連の多くの新機能を効率よく搭載し、またAmazonの商品とNest Hubプロダクトのさらなる差異化を図っている。そして当然の帰結として、その過程でプライバシーについてさらなる懸念を伴っている。これに対する最大の解決策は、他の手段ではアクセスできないパーソナリゼーションのようなものとなる。

セットアップは、スマホのアンロック作業と似たようなプロセスを経る。スマホのカメラを使って顔の3Dイメージを撮り、Nest Hub Maxがユーザーを認識すると「こんにちはブライアン」というふうな文言とGoogleプロフィールに関連するイメージであいさつしてくれる。そして使用可能な状態になると、デバイスはあなたに合った提案などをするようになる。アカウントの切り替えも顔認識でできる。

もちろん、他の多くのものと同じように、少し要注意な部分はある。当然のことながらGoogleはあなたの声を特定し、これによりあなたが尋ねたことに対する情報を提供する。しかしそれはこの手のものを実行するのにさほど機能的なアプローチではない。あなたはオプトアウトすることもできるが、そうするとこのデバイスが売りとする機能の大半が使えなくなってしまう。

このカメラではまた、Duoを通じてビデオチャットもできる。Hub MaxdはFacebookのPortalと似たようなズーム機能を搭載している。これは対象物を追いかけるのに動いたりズームしたりし、同時に複数の人物に対応する。しかし、デジタルズーミングではかなり画像の質は落ちる。

他の特筆すべき機能はセキュリティカメラだ。結局のところ、これはNestデバイスだ。しかし、セキュリティ専用のプロダクトではなく、GoogleはすでにあるNestデバイスを補足するものとして位置付けている。言い換えると、Nest Camを重要な場所に設置して、そのほかのエリアをHub Maxでカバーする。Hub Maxは専用のデバイスのように作動するが(ジオフェンスのような機能を含め)、ナイトビジョンのような機能はない。

便利なことに、このデバイスがカメラとして使われるときには、セキュリティのために「Nest Camが起動しています」とノーティフィケーションを出し、ユーザーがわかるようになっている。もちろん、他のさまざまな種類の接続しているカメラや、中央コントロールパネルのように動くスマートホームデバイスと一緒に使うこともできる。セットアップで追加できる利用可能なビデオサービスはたくさんあり、そこにはHBO NowやCBSも含まれる。ただし、現段階ではNetflixは利用できない。おそらくAmazon Primeもダメだろうが、Chromecastにはある程度対応する。

ボトム部分のスピーカーはHome Hubよりも大きく、より低音のきいた音になった。しかし多くの人にとって独立したスピーカーとしてはおそらく十分ではないだろう。他のHomeスピーカーとペアリングでき、Home Maxのようなものと一緒に使うのはありだ。スピーカーにスクリーンが加わり、音楽を聴いてる間、コントロールパネルのように使える。

マイクは2つしか搭載されていない。この数は、競合する多くのスマートホームデバイスよりも少ない。しかし、マイクと改善された音質にもかかわらず、Googleはハイエンド製品Home Maxにある自動的に部屋の空間を認識して音を調整する機能を搭載しなかった。

229ドルという価格で(すでに購入できる)、Nest Hub MaxはEcho Showと競合する。多くの点で優っていて、カメラに関して上に述べたプライバシーの懸念はあるものの、素晴らしいスマートホームプロダクトをつくるのにGoogleの強みがいかに生かされれているかを目の当たりにすることができる。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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