モバイル・ソーシャル・ゲーミングのOpenFeintを創業し、買収によるエグジットも果たしたJason Citronは、2015年5月にDiscordをローンチしてゲーミング・スタートアップ業界に復帰した。Discordはゲーマー向けの音声通話/メッセージングアプリで、SkypeやTeamspeakの対抗馬となる存在だ。同アプリはこれまでに2500万人のユーザーを獲得し、プラットフォーム上でやり取りされるメッセージは1日あたり1億件だという。そして本日、Discordは新しいプロダクトをリリースした。ゲーム内での音声やテキストのやり取りを可能にするGameBridgeだ。
無料のSDKとして提供されるGameBridgeは、ゲーム内で音声通話とテキストのやり取りを可能にする、新しくてシンプルな方法であり、コミュニティ内でのユーザー同士の交流を可能にする。
ユーザーはGameBridgeを利用して、ゲーム内に設けられたテキスト・チャンネルでゲームのリプレイやアチーブメントを投稿することで他のプレイヤーと交流を図ることができる。ゲームの開発者は用意されたディベロッパー・ツールを使うことでゲーミング・チャンネルを管理することが可能だ。例えば、GameBridgeではプレイヤーをチャンネルに加入させたり、脱退させたりすることが可能で、GameBridgeはボイスチャンネル内にどのユーザーがいるのかを判断し、そのユーザーが何か話した時にはそれに反応するようになっている。ミュートやボリュームの変更など、同プロダクトを通してローカル環境の音声設定を変更することも可能だ。
ギルドチャット用に構築されたGameBridgeのチャットボットを利用することで、ゲーム外のコミュニティを拡大することもできる。ゲームの開発会社が発売前のゲーム向けにコミュニティを構築して、そのコミュニティ内でテスターたちがゲームの感想やフィードバックを話合うような場を提供することができるのだ。
もちろん、ゲームのディベロッパーは数あるGameBridgeの機能の中から好きなものを選んで、その機能をゲームに統合することができるようになっている。
「従来では、ディベロッパーがゲームに音声チャットとテキストチャット機能を持たせようとした場合、3つの選択肢がありました。そのどれもが、多大な時間とリソースを費やさなければならないものでした。一つのオプションは、自分たちでゼロからツールを構築すること。2つ目は、他社のテクノロジーを使用するライセンスを取得することですが、この方法では利用できる機能の範囲や、カスタマイズできる範囲が限られています。そして3つ目は、何もしないという選択肢です」とDiscord CMOのEros Resminiは説明する。「GameBridgeは、とても強力な4つ目の選択肢なのです」。
Discordのチャットアプリと同様、GameBridgeのSDKは無料で提供されている。同社はこれまでに調達した資金で運営費用をまかなっているからだ。将来的には、同社はコスメティック・アイテム(ステッカーやサウンド・パックなど)の販売から収益を獲得していく予定ではあるが、まだその段階には至っていない。
プロダクトの無料提供が功を奏し、Discordはここ数カ月間で力強い成長率を叩き出している。
過去5ヶ月間で登録ユーザー数は2倍になり、現在のユーザ数は2500万人だ。週のピーク時における同時利用者は230万にものぼる。また、Discordには2万人以上のアクティブユーザーを抱えるコミュニティー・サーバーがいくつかあり、その中には4万人以上のメンバーが利用するサーバーもある。
ローンチと同時に、すでに10社のゲーム開発会社がGameBridgeのユーザーとなり、彼らのゲームに同プロダクトが統合され始めている。Nexon/Boss Key Productionsが開発するFPS(一人称シューティングゲーム)のLawBreakersや、TrionのAtlas Reactorなどがその例だ。
現在、GameBridgeのプライベートβ版が公開されている。興味のあるディベロッパーはDiscordのWebサイトから利用登録できる。
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