コネクテッドカーデータ分析のWejoが損保ホールディングスやマイクロソフトと提携

コネクテッドカーデータのスタートアップであるWejo(ウィージョ)が、世界中の何百万台というコネクテッドカーからのデータを収集・保存・分析するのにMicrosoft、Palantir、損保ホールディングスと提携すると発表した。

WejoはGMの出資を受けており、今回のニュースは特別買収目的会社(SPAC)Virtuoso Acquisition Corp.との合併を通じて上場するという発表に続くもので、SPAC合併は2021年後半に完了する見込みだ。Microsoftと損保が拠出する2500万ドル(約28億円)、そしてGMとPalantirがすでに約束している投資と合わせると、Wejoの私募増資は1億2500万ドル(約138億円)となる。

関連記事:GMやPalantirが出資するコネクテッドカーデータ分析のWejoがSPAC経由で上場へ

PalantirはWejoの戦略的投資家だった。2019年にPalantirは損保ジャパンと日本で合弁会社を設立した。この合弁会社との提携によりWejoは日本で、そしておそらくさらに広範なアジア太平洋地域でコネクテッドカーデータを収集できるチャンスを手にする。Wejoはすでに韓国で対象車両を抱えているが、同社の創業者でCEOのRichard Barlow(リチャード・バーロー)氏によると、扱うデータの95%は米国からのものだ。損保はPalantir Foundryデータ分析プラットフォームを使ってWejoのコネクテッドカーデータを分析する、とWejoは説明する。

「世界で販売されている車両の大半はつながる能力を持っています。ですので膨大なチャンスがあります」とバーロー氏はTechCrunchに語った。「サプライベースの車両約5000万台のうち1100万台が当社のプラットフォームにあります。また提携するOEM17社が当社のプラットフォームを活用していて、1日あたり160億ものデータポイント、ピーク時は1秒あたり4万のデータポイントを処理しています。だからこそMicrosoftの支援を受けてAzureクラウドプラットフォームに移行することに胸躍らせています」。

WejoはGMやDaimler、Hyundaiといった車両メーカーとの提携の元にニューヨークを走行しているクルマの70%、カリフォルニアの車の6%、デトロイトの車の20%をとらえることができる、とバーロー氏は話す。Wejoは所有者の同意を得ている車両から収集した未加工の匿名化されたデータを企業やデベロッパー、政府に提供したり、データ分析を行なったりすることができ、これはMicrosoftとの提携が役立つ分野でもある。

「Microsoftは、我々が実際にOEM、そしてコネクテッドカーのデータを使いたい鍵を握る産業にこれまでよりもすばらしいプロダクトを実際に提供するために、どのように機械学習とAI能力を活用するかについて、本当に説得力のあるソリューションを思いつきました」とバーロー氏は話した。「ですので困難な仕事をこなすMicrosoftのAzureは当社の事業を確実にスピードアップするでしょう」。

Wejoによると、初期の応用には交通ソリューション、リモート診断、統合決済、広告、小売、ロジスティックなどが含まれる。WejoとMicrosoftはまた、MicrosoftのマッピングソリューションのためにWejoを使うという潜在可能性についても協議している。マッピング企業は往々にしてWejoのデータの購入者であり、保険会社の利用も見込まれる、とバーロー氏は話す。

「車両2台が同時に、そしてリアルタイムに入ってくるケースが1100万件ありました。当社はどちらの車両からもデータを獲得します。そして衝突や、車両の関わり前後の動きの特徴をとらえて理解し始めます」と同氏は話した。

Wejoは、各ドライバーがどのようにブレーキを踏んだのか、どのエアバッグが作動したのか、衝突時のスピード、どのセンサーが壊れたのかなど、クルマの衝突を再現することができるデータを収集する。そして保険会社が保険請求や回収プロセスを迅速に処理できるよう、そしてより精度を高められるよう、こうしたデータを保険会社と共有することができるとバーロー氏は説明した。

さまざまな状況での人間のドライバーの行動を示すこのデータはすべて過去7年で集められ、このデータにより自動運転技術を開発する企業にとってWejoは魅力ある存在となっている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Wejoコネクテッドカー

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。