コンシューマーの79%がオンラインで買い物をする、でも重要なのは利便性より価格

OAKLAND, CA - NOVEMBER 30:  A FedEx worker sorts packages being uloaded from a truck on a conveyor belt at the FedEx Oakland Airport sort facility November 30, 2005 in Oakland, California. FedEx and UPS are beginning to feel large volumes of packages as the holiday shipping season gets underway with a high level of online shopping.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

今朝Pew Researchが発表した調査結果によると、10人に8人のアメリカ人がオンラインで買い物をするという。79%のアメリカのコンシューマーは、ウェブサイトやスマホから買い物をしている。2000年の調査ではたった22%だった。さらにその半数以上(51%)は、モバイルでも買い物をした経験があり、15%はソーシャルメディアでシェアされていたリンク経由で品物を購入した経験がある。

この調査では、オンラインでショッピングをした人の数、場所、頻度、どのプラットフォームを利用しているかなどを詳しく調べているが、最も興味深いのはオンラインで買い物をする理由だ。

コンシューマーがオンラインショッピングに最も魅力を感じるのは、クリック数回で品物がドアの前に届く利便性ではなく、価格だった。また、購入する前に価格やその他の情報をウェブで効率的に調べられることに魅力を感じていた。

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多くのスタートアップが、コンシューマーが外に出て買い物にでかけるときの課題を解決しようとしている。 同日配送から、タンポン歯ブラシといった生活用品のサブスクリプション、食糧品店を訪れる手間を省くサービスまで多様なサービスがある。今回の調査で分かったコンシューマーの消費行動は参考になるかもしれない。

また、これは新しいオンライン経済の創出を目指すシリコンバレーのアプローチを批判する内容とも一致している。

General Catalystの投資アソシエイトを務めるKatherine Boyleは、TechCrunchの寄稿記事で「シリコンバレーは時間を節約するサービスを追求しています。しかしアメリカの他の地域の人はお金を節約したいと考えているのです」と指摘する。

Pewの調査結果もそれを裏付けている。Pewの調査では、オンラインショッパーの65%は同じ商品であるなら、店舗で購入することを望むと回答した。

これは、全体で広く見たときの傾向とPewは示す。オンラインより店舗で購入を望む人の割合は、オンラインでの買い物を頻度が高いほど、大きく下がる。

例えば、毎週オンラインショッピングを利用すると回答した人の62%は、店舗よりオンラインでの買い物を望んだ。しかし、月に1度もオンラインショッピングを利用しない人の82%は、店舗での買い物を望む傾向にあった。

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しかし、最終的にどこで買い物をするか決めているのは結局のところ価格のようだ。

オンラインショッパーの65%は何かを購入するとき、店舗での価格とオンラインでの価格を比較し、最もお得なところで購入するとした。オンラインでの価格を確認せず、店舗で購入すると回答した人は21%だった。また、店舗での価格を確認しないで、オンラインで購入すると回答したのはたった14%だった。

これまで購入したことがない品物を購入する時に重視することへの回答も興味深い。たくさん項目がある中で、重視する項目の最下位だったのは、「店舗に行かずとも品物を購入できる利便性」だった。

利便性について「どちらかというと重要」「とても重要」のいずれかを選択したのは全体の42%にとどまった。最も重視していたことは、価格を比較できること(86%の人が「どちらかというと重要」あるいは「とても重要」と回答)だった。次に、質問ができること(84%)、知っている小売店で購入すること(84%)、自分の目で品物を確認すること(78%)、知っている人のアドバイスを得ること(77%)、オンラインのレビューを読むこと(74%)が続いた。

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Pewの調査結果は、オンラインのレビューがアメリカ人の買い物の意思決定において重要なものであることを示している。82%は、初めて購入する品物ではオンライン上のレビューを気にすると回答した。また、半数近く(46%)がオンラインのレビューを見ることで、購入の意思決定に自信が持てるとした。

しかし、オンラインのレビューの信頼性も揺らいでいる。48%の人が、レビューが誠実か、あるいは偏った意見かどうか判断がつかないとした。有料レビューが広まったことが大きな原因だろう。例えば、Amazonはインセンティブありのレビュー(無料、あるいは割引価格で商品を提供して得たレビュー)を排除し、レビューの信頼回復に取り組んでいる。

調査結果では他にも、「ショールーミング」(オンラインで価格を確認して、店舗で購入すること。45%の人が行ったことがあると回答している)や購入に際するソーシャルメディアの役割と決済について調査している。

最後の決済について見てみると、現金で決済する人が減っているようだ。普段、1週間のうち、1回も現金で決済しないと回答した人が24%いた。現金でほとんどの決済を行っていると回答した人も24%で、残りの半数はまちまちだった。

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この調査では、個別の新しい決済テクノロジーには言及していない。ただモバイル決済について、アメリカ人の12%は、レジでスマホをスワイプやスキャンして決済したことがあると回答している。もう1つ、39%の人がビットコインについて聞いたことはあると回答した。ただ、実際に使用したことがあるのはたった1%だった。これは、一般の人とテクノロジーとの乖離を示しているのかもしれない。

Pewのウェブサイトで全ての調査結果を見ることができる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website