一年半あまり前に本誌で取り上げたCoachは、個人教師(tutor, チューター)やそのほかのフリーランサーに、ネット上で自分のビジネスを成り立たせるためのツールを提供していた。しかしその後同社は方向を大きく変えるとともに、最近300万ドルのシード資金を獲得したことを発表した。
そして、名前をPodiaに変えた。
CEO Spencer Fryの説明によると、Coachのユーザーは個人教師がそんなに多くなくて、むしろいろんなタイプのコンテンツ・クリエイターが多かった。したがってスケジューリングとか請求事務など、個人教師のための機能はあまり利用されなかった。そこでFryは、“コンテンツ・クリエイターのためのデジタルショップを作るサービス”、に特化することにした。
“収益源としては、最近の広告はコンテンツ・クリエイターにあまり向いていないし、アフィリエイトは小さなニッチビジネスにとどまっている。売上は、コンテンツを売ることから得るべきだ”、と彼は語る。
PodiaのWebサイトでクリエイターたちのプロフィールを見ると、同社の顧客の多くは今でもオンラインのクラスやハウツーのコンテンツを売っている。そのテーマは、マーケティングやプログラミング、食べ物(健康食など)などさまざまだ。Podiaに登録しているクリエイターは今7500名あまり、そのうちのほんのひとにぎりが、昨年10万ドル以上を稼いでいる。
コンテンツ・クリエイターたちの収益化を助けるツールはほかにもあるが、でもFryによると、GumroadやPatreonなどは、ニッチ的なビジネスモデルにのみフォーカスしている。それに対してPodiaは、クリエイターたちがオンラインのコースに課金したり、何かのダウンロードを有料にしたり、また有料会員制を設けたり、どんなビジネスモデルでも展開できる。また、自分の顧客リストを利用して簡単なメールマーケティングを繰り広げるツールも提供している。
Fryの主張によると、Podiaのやり方は全体的に“とってもクリエイターフレンドリーである”。何よりもまず、それは完全にホワイトレーベルのソリューションなので、各人が自分のWebサイトやドメインでビジネスを展開できる。
そして決済も、支払いは直接、クリエイターのPayPalやStripeのアカウントへ行き、手数料はない(Patreonは最近、それで失敗した)。Podiaの収入は、月額39ドル(初回のみ)または79ドルの会費のみだ。だからPodia経由で数十万ドル稼いでも、月に79ドル払うだけだ。
ところでシード資金を提供した投資家は、Zelkova Ventures, Designer Fund, そしてNotation Capitalだ。
名前を変えたことについてFryは、“Coachという名前はすぐに嫌いになった。そもそもGoogleの検索で‘うちのCoach’がなかなか見つからない”、という。podium(土台)の複数形であるPodiaなら、その問題もないだろう。