コーディングは口述で行う時代へ、Serenadeが2.2億円のシード投資を調達

数年前、Serenade(セレネード)の共同創設者Matt Wiethoff(マット・ウィートホフ)氏がQuora(クオーラ)の開発者だったころ、手が反復性のストレス障害と診断され、プログラムコードのタイピングができなくなった。そこで彼ともう1人の共同創設者Tommy MacMilliam(トミー・マクミリアム)氏は、AIを使って手を使わずに口述でコードが書けるツールを開発しようと決意。そうしてSerenadeが誕生した。

米国時間11月24日、同社はAmplify PartnersとNeoの主導による210万ドル(約2億2000万円)のシード投資を発表した。同時に、初の市販版製品となるSerenade Pro(セレネード・プロ)の発表も行なった。

「Serenadeは、コンピューターにダウンロードして使用するアプリです。Visual Studio CodeやIntelliJといった既存のエディターに統合すれば、あとは口でコードをいうだけです」と共同創設者のマクミリアム氏は私に話した。そこからは同スタートアップのAIエンジンが主導権を握り、口でいったことを文法上正しいコードに変換してくれる。

汎用の音声テキスト変換エンジンはすでに数多く出回っているが、コード入力の必要性に的を絞ってチューンされたものは見たことがないと彼は話す。非常に狭い市場を狙った製品に見えるかもしれないが、この使用事例は、そうしたテクノロジーを怪我を負っていない開発者も利用する時代の出発点に過ぎないと創設者たちは語る。

「私たちのビジョンでは、これがまさにプログラミングの未来なのです。機械学習によって、コーディングはこれまでになく早く簡単になりました。そして私たちのAIは、プログラミングに付き物の機械的な手作業を大幅に減らします。キーボードのショートカットや言語の細かい文法を覚える手間もなく、アイデアを自然な形で表現することに専念できます。それを私たちの機械学習が、あなたに代わって実際のコードに仕上げるのです」とマクミリアム氏は説明してくれた。

このスタートアップの従業員は現在5人だが、新製品の発売と新規の資金調達の力を借りて、2021年中には15〜20人に増やしたいと考えている。この会社を立ち上げるとき、彼らは多様性を大変に重視したとマクミリアム氏はいう。

「私たちの多様化戦略は、起業プロセス全体に行き渡っています。多様性がまず第一にあるのだと私は思っています。そのため、外へ出て、素晴らしい人たちと会うよう心がけています。世間には、素晴らしい人たちがたくさんいます。私たちの仕事は、Serenadeで働くことの素晴しさを彼らにわかってもらうことです」と彼は話す。彼らは、個人的な人脈を超えたさまざまな人材源に働きかけて多様な候補者グループを掘り出す。その後、多様性の高い従業員構成を築くという目標に沿った候補者との面接方法やスキルセットの審査方法を考える。

同社は、自分たちがコーディングをキーボードから口述に移行させるための手段だと自認している。今回の投資は、ユーザーのためのコミュニティを構築しつつ製品の開発を続ける資金となる。「私たちは、声でコーディングすることの価値を、どうしたらうまく説明できるか、どのようにデモをまとめ、どのようにこの製品に長けた人たちのコミュニティを構築して、それ(声のほうが早くコーディングできること)を示すべきかを、これから考えていきます」と彼は話していた。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Serenadeコーディング音声認識資金調達

画像クレジット:Ledi Nuge / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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