ブロックチェーン技術を手がけるカナダBlockstream Corp.が、シリーズA資金調達で5500万ドルを手にした(発表ブログ)。投資したのは、Horizon Capital、AXA Strategic Ventures、それに日本のデジタルガレージの子会社DGインキュベーションなどだ。
Blockstreamは、暗号通貨とブロックチェーン技術の本流といえるビットコインのブロックチェーンと2-Way PEGで連動する「サイドチェーン」をビジネスとする。ビットコインには7年間の技術的蓄積があるが、すでに多くの利害関係者がいることから新技術を投入しにくい。だがサイドチェーンであれば、技術的蓄積が長いビットコインの基幹技術を利用しつつ、新技術を素早く投入できるメリットがある。
サイドチェーンの応用として、複数のデジタル通貨を束ねるプラットフォームや、スマートコントラクト(アルゴリズムで記述された電子契約)、デジタル不動産登記、ポイント交換などが挙げられる。
日本での具体的な取り組みとして、DGがインキュベーションするスタートアップの一社である弁護士ドットコムと連携し、同社の電子契約サービス「CloudSign」に基づく「日本の商習慣に最適化した」スマートコントラクト・システムの開発を検討していく。またデジタル通貨や各種ポイントサービスなどを利用可能な次世代決済プラットフォームを、クレジットカード会社や銀行とコンソーシアムを組織しつつ進める予定だ。
Blockstreamは2014年1月創業。創業者はカナダZeroKnowledge Systemsの出身のAustin HillとAdam Back。創業後間もない2014年11月に、LinkedIn創業者のReid Hoffman氏、Khosla Ventures、Real Venturesをリードインベスターとして2100万ドルを調達し話題となった。CTOのGregory Maxwell氏、エンジニアのPieter Wuille氏は共にビットコインのコア開発者として知名度が高い。
プロダクトとして、オープンソースのアプリケーション開発向けプロダクト「Elements」と、ビットコイン取引所を対象とする「Liquid」がある。同社の主要ビジネスモデルは、(1)オープンソースで提供するプロダクトに対する定額制カスタマーサポートと、(2)サイドチェーンをBlockchain-as-a Sreviceとして提供することだ。
ブロックチェーン技術の関連企業の中でも、特に有名エンジニアを抱え豊富な資金を持つBlockstreamが日本でのビジネスを展開する。今後の動向に注目したい。