サンフランシスコで無料のWi-Fiを使ったことのある人は、それがZenreachだった確率が高い。しかし、そのことに気づかなかっただろう。
同社はこれまで、上記のように、ほとんど知られざる存在だった。無名の方が競争上有利、と考えたからだ。しかし今日(米国時間7/19)は、黙ってるわけにもいかなくなり、シリーズBによる3000万ドルの資金調達を発表した(この前の2000万ドルは極秘裏に行われた)。今回は億万長者投資家のPeter Thielを取締役会に迎えたので、発表せざるをえない。
エンタープライズソフトウェアを作っているZenreachは、ハードウェアも提供している。そのハードウェア、Wi-Fi機器は、レストランやコーヒーショップなどに月額制で貸し出される。ユーザーがそのWi-Fiにユーザー登録するときにはユーザーIDとしてメールアドレスを要求されるから、お店はそれらのアドレスに宣伝メールを送れる、というメリットがある。ただしその公共的Wi-Fi機器は、登録ユーザーしか利用できないように、ファイヤーウォールがしっかり守っているから、セキュリティは万全だそうだ。
そのお店でZenreachにユーザー登録した人は、そのWi-Fiスポットが自分のスマホのデフォルトになるから、Wi-Fi側から見ればそのユーザーの再来店が分かる。Zenreachはその統計的データをお店の経営指標の一環として提供し、喜ばれている。
ZenreachのファウンダーでCEOのJack Abrahamはこう語る: “小企業の経営に役に立つツールやプラットホームをうちは作っている。でもその小企業が、消費者に無料のWi-Fiを提供する主役になっているんだ”。
YelpやFoursquareなどのアプリも、同じようなやり方で小企業を支援しているが、Zenreachは、“あくまでも主役は商業者自身、という観点に立ち、長期的に彼らを支援したい。彼ら自身には消費者を対象とするサービスを作って始めることが、できないのだから”。
今回の投資をリードした8VCのゼネラルパートナーJoe Lonsdaleはこう言う、“Zenreachの経営状態を表すさまざまな数値は、どれもすばらしい。彼らはすばらしいチームだし、しかもビッグな業態分野だ。ざっと見ただけでは分からないぐらい、状態の良い企業なんだ”。
そのほかの投資家は: Bain Capital, SV Angel, Felicis Ventures, SoftTech, そしてPeter ThielのFounder’s Fundだ。
Zenreachの社員数は、2013年の創業時から3年間で150名に成長した。