Oculusはユーザーが指で絵を描いたり、スーパーマンのように空を飛んだり、それどころかVR環境でタイプ入力もできるようにすることを狙っている。OculusはすでにTouchコントローラーをテストしている。これはVRピストルを射ったり、VRオブジェクトをつまみ上げたりするのには便利だった。しかし今日(米国時間2/9)、親会社であるFacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグはワシントン州レッドモンドのOculus Researchを訪問し、プロトタイプのVR手袋でタイピングしている写真をFacebookに発表した。
Zuckerbergは「われわれは仮想現実、拡張現実でユーザーの手に新しい能力を与えようと開発を行っている。この写真のような手袋を装着するとOculusユーザーはスケッチしたり、VRキーボードでタイプ入力したりできる。それどころかスパイダーマンみたいに指先からクモの糸を飛ばすこともできる。今そういうことを試しているところだ」と書いている。
TechCrunchではこのプロトタイプについてさらに詳しい情報を求めている。写真で見たところでは、Oculusの手袋はあまりかさばるものではない。注目すべきなのは、このデバイスが位置決めにOculus自身のセンサーではなく、OptiTrack Prime 17Wカメラを利用しているように見える点だ。カメラも含めた新たなセンサーを独自開発するより、サードパーティーの既存のシステムを利用したほうが開発期間、コストの両面で有利なのだろう。
Oculusはこれに先立って、手の位置をトラッキングするPebbles Interfacesを買収している。このスタートアップはVR手袋に用いられるテクノロジーを開発していた。
現在多くの企業がハプティック〔触覚フィードバック〕や位置認識の機能を備えたVR手袋の実用化を目指している。Dexta RoboticsのDexmo手袋もその一つで、手に取り付けるメカニカルな外骨格のようなデザインだ。 Manusはもっとスマートでバイク用手袋のような外観だ。しかし昨年のデモではHTV Viveコントローラーを上腕に装着する必要があった。同様のデバイスとしてはNeurodigitalのGloveoneやNoitomのHi5がある。
しかし今日のザッカーバーグの発表でOculusもVR/AR手袋という新市場に参入することが明らかになった。少なくとも、VR手袋を効果的に利用するソフトウェアの開発をターゲットとしていることは間違いない。
VR手袋でタイプ入力ができるようになることの意味は大きい。これまでゲームとエンターテインメントが中心だったVRビジネスを生産性ツールなどビジネスに役立つ分野に拡張できる。情報源から聞いたところでは、Facebookのエンジニアの一部はすでにVR環境での開発を実験しているという。現実世界ではディスプレイの面積が限られており、多数のディスプレイを次々に切り替えて忙しい思いをする。VR環境では表示面積は事実上無限だ。
VRはこれまでコンシューマーを主要なターゲットにしていたが、デバイスがケーブルに縛られること、装着がわずらわしいことなどの理由でメインストリームの製品とはなっていない。Facebookのエンジニアの実験は企業内利用の可能性を大きく広げるものとして重要だ。Business Insider は昨日、OculusはBest Buy店舗500ヶ所に設置していたデモ展示のうち、数日にわたって利用者がいなかった200ヶ所を閉鎖するという。
Oculus GlovesはVRがファンタジー世界から飛び出して現実の生産性ツールとなる道を開くかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)