旅行中に急に風邪をひいてしまったして、そのときは何も持っていなくても、家に帰れば何でもあることを考えると、Kleenexのティッシュを丸々1箱買ったり、Sudafed(もしくはその他の鼻づまり用の薬)を1パッケージ分買ったりしたいとは思わないだろう。もしも誰かがティッシュを何枚かと、2、3錠のSudafedsと、のど飴くらい持ってきてくれたら気分も楽になる。スタンフォード大学の学生が設立したJetpackは、まさにそんなサービスを提供しようとしている。
「Jetpackのユーザーは、日用品や薬を全く持っていないというわけではなくて、ただ少しだけ必要な状態にあるんです」とスタンフォード大学の修士課程に在籍している、JetpackのフォウンダーでCEOのFatima Dickoは話す。
Jetpackは”緊急用の”品物をオンデマンドで学生に届けるサービスだ。今のところ15種類の商品が準備されており、それぞれの価格は1〜5ドル程度。配達を担当する学生はキャンパス内に現在100人いて、それぞれがJetpackのバッグを背負い、その中に入ったエナジードリンクや風邪薬、二日酔いの薬などをすぐにユーザーのもとへ届けられるような仕組みになっている。
Jetpackは予め在庫を仕入れているので、リクエストを受け取った後は、配達にだけ気を配ればいい。さらに配達担当者は、販売した商品の割合に応じて決められている手数料を毎週受け取ることができる。将来的にJetpackは、他の街にも同様のサービスを展開し、テーマ別のセットを5~10ドル程度で販売しようとしている。
「まずは何が売れるのかを確認して、それから商品を絞っていこうと思っています」とDickoはTechCrunchの取材に対し語った。
この記事を呼んでいる人の中には、Jetpackが扱う商品は、Postmatesのようなサービスでも購入できるのではないかと考えている人もいるかもしれないが、その通りだ。しかしPostmatesは「配達スピードに関して、規模の経済性」が成立していないとDickoは言う。一方Jetpackは、配達担当者に在庫を配布し、彼らを人が集中するエリアに留めているので、規模の経済性が成り立つ。
Dickoは、健康用品のサブスクリプションサービスを提供するMyBestBoxというスタートアップを最初に設立し、そこからピボットしてJetpackを立ち上げた。彼女はMyBestBoxを通じて、複数の消費財メーカーとパートナーシップを結んでおり、その中から25社をJetpackのオペレーションにも活用することにした。これまでにJetpackは13万ドルの資金を調達しており、近々シードラウンドを開催しようとしている。
Jetpackの来年の目標は、コーネル大学とハーバード大学にサービスを展開することだ。さらにDickoは自身のゴールについて、「人同士の交流についてや、互いを助け合うことで人が抱えるさまざまな心理的問題を解決することができるかなどについての理解を」深めることだと話す。「もしも誰かがデオドラント剤を欲しがっている場合、臭いをどうにかしたいという思いのほかにも、そこには心地よさに関する心理的なギャップが隠れているんです」。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)