Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)は歩道を自動で車輪走行する配達ロボットを開発し、これまでに10万回超の客への配達を行った。StarshipがシリーズAで4000万ドル(約43億円)を調達したタイミングでこの大台を達成。今回のシリーズAで累計調達額は8500万ドル(約90億円)となった。2018年6月に2500万ドル(約27億円)の調達を発表した時、Starshipは大学構内での初の運行を試していた。そしていま、Starshipはそのパイロット事業をもとに今後2年かけて100の大学のキャンパスに拡大するという計画を持っている。
「私がCEOになった時、さまざまな種類のビジネス拡大戦略をテストしていた」とCEOのLex Bayer(レックス・ベイヤー)氏は説明する。「我々はグローサリー配達、大学のキャンパス、企業敷地、産業敷地をテストしていた。そして我々はこうした環境のほとんどでかなりの需要が実際にあることに気づいた。ロンドン北部のミルトン・キーンズで展開しているグローサリー配達事業は予想以上にうまくいっている。しかし実験の一つは大学のキャンパスだった。私が思うに、企業として(まだスタートアップだが)我々はいかに今後成長するかに常にフォーカスし、それを追求しなけれなならない。そうした意味で大学のキャンパスは我々の事業を前進させるものだ。これは学生をひきつけているだけではない。レストランからのオーダー、そしてロボットが対応できる件数よりも学生からのオーダーが多く、我々は利用可能なレストランや稼働時間を拡大しなければならなかったほどだ。なので、我々は学生からよい感触を得ることができた。と同時に、大学やフードサービス事業者からの引き合いもあった」。
大学にフォーカスした結果、ピッツバーグ大学では今日から、インディアナ州のパデュー大学では9月9日からStarshipのロボットが展開され、今後も多くの大学にお目見えする。Starshipの野心的な目標は、前述した通り、今後2年間で100の大学で展開することで、この事業拡大に今回の資金を使う予定だ。Bayer氏が述べたようにマーケットの反応はよく、公道や歩道に接しているキャンパスで展開することは、ロボットがあらゆる環境で作動することを示す手段となる。加えて、学生の数は初期顧客ベースとして理想的だ。
「若い世代を相手に何かを始めるというのはいつだって素晴らしい。というのも、彼らの世界の見方の多くは、世界がそうなるかもしれない方向と一致するからだ。彼らは過去や従来のやり方にとらわれない。だから、彼らにより良いソリューションを示すと、彼らはそれを活用し『物事はこうあるべきだ』と言う」。
当たり前ととらえることは高頻度の利用につながる。Starshipが展開している大学で稼働しているロボットの一つは、サンフランシスコーニューヨーク間の距離を走行した。最高速度が時速4マイル(約6.4km)であることを考えると、この距離はすごい。Starshipの電動ロボットは全部で、配達のために距離にして計35万マイル(約56万km)を走行し、さまざまなグローサリーや食品を届け、中でも9000個ものロールと1万5000本ものバナナを運んだ。
「最初の数年間は、これもできるはずだということを実際に展開していた」とBayer氏は説明する。「なので、配達1万回を達成するのに4年を要し、配達1万回から5万回となるのには8カ月かかった。そして10万回を達成するのには4カ月もかからなかった。10万回というのは大きな金字塔で、これを達成した企業は我々が初めてだ。当然誇りに思っている。我々が行なっていること、いかに拡大しているかを如実に反映している」。
Starshipの今回の資金調達はMorpheus Venturesが主導し、既存投資家のShasta Ventures, Matrix Partners, MetaPlanet Holdings等、そして新規投資家のTDK VenturesやQu Ventures等が参加した。
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)