スバル初のグローバル展開、新型電気自動車「ソルテラ」がLAオートショーで米国デビュー

SUBARU(スバル)は、2021年5月にチラ見せしていたクロスオーバー型電気自動車の全貌を、11月11日に世界初公開した。そして米国時間11月17日、この「SOLTERRA(ソルテラ)」と名づけられた同社初のグローバル展開となる電気自動車は、ロサンゼルスオートショーで米国デビューを果たした。

ソルテラは、スバルとトヨタの共同プロジェクトから誕生したサブコンパクトクラスのバッテリー駆動クロスオーバーで、トヨタが4月に発表した電動クロスオーバー「bZ4X」とほとんど双子に近い兄弟関係にある。つまり、従来の「スバル BRZ」と「Toyota 86(トヨタ86)」の関係と同様だ。

このクルマを一文でまとめると次のようになる。ソルテラは、アメリカ人の飽くなきクロスオーバーへの欲求をターゲットにしており、トヨタの協力を得てスバルがEV市場に参入する足がかりとなる。

この2年間は、半導体不足により生産が滞ったにもかかわらず、スバルにとっては非常に良い年だった。米国では過去最高の販売台数を記録している。

四輪駆動の中型SUVとして知られる「Forester(フォレスター)」は、販売台数でセグメントをリードしてきたものの、2021年10月の販売台数では、小型クロスオーバーの「Crosstrek(クロストレック)」が最も売れていると報じられている(販売台数ベース)。スバルによると、フォレスターと「Outback(アウトバック)」のオフロード志向を強めたバリエーションである「Wilderness(ウィルダネス)」を販売店に留めておくことは難しく、メーカー希望小売価格より5000ドル(約57万円)も高いプレミアム価格が付けられているとのこと。

トヨタは2019年9月からスバルの20%を保有しているが、その提携は、GMがスバル(当時の富士重工業)との関係を解消した2005年にさかのぼる。トヨタとスバルの提携は、スバルが得意な四輪駆動システムの専門知識をもたらし、トヨタがハイブリッドや電気パワートレインを提供するという形で、双方にとって有益なものとなっている。2つの日本企業は、両社とも新しい領域に踏み込む際には保守的で慎重になる傾向があるが、ソルテラはスバルが考えるオフロード性能を備えた電動クロスオーバーの将来像を示すという意味でも興味深い。

全輪駆動の共有プラットフォーム

ソルテラは、スバルがトヨタと取り組んだ共同プロジェクトであるため、デザイン(特にインテリア)はトヨタに少々似ているが、エクステリア、シャシー、全輪駆動システムはすべてスバルによるものだ。トヨタはバッテリーの調達も担当している。

このバッテリーは、71.4kWhのリチウムイオン電池で、前後車軸の間に格納されており、フロントとリアに搭載された合計2基の電気モーターに接続されている(日本版編集部注:モーターをフロントに1基のみ搭載する前輪駆動仕様もあり)。一度の充電で走行可能な航続距離は460km前後(WLTCモード、日本国内向け基準)になる見込みだという(日本版編集部注:前輪駆動モデルは530km前後)。最大150kWのDC急速充電に対応し、0~80%までわずか30分程度で充電できる。

モーターの最高出力は、前後とも80kWで合計160kW(約217.5ps)。最大トルクは246lb-ft(約333.5Nm)で、低回転から十分な力を発揮するため、いわゆるソフトローダーとしては十分な動力性能が期待できるだろう。(日本版編集部注:前輪駆動モデルは1基のモーターのみで150kW[約204ps]を発生)。

画像クレジット:Kirsten Korosec

オートショーに先駆けて郊外で行われた発表会では、小さな岩が転がる道を登ったり浅い池を越えたりしながら、集まった報道陣の前で写真撮影を行い、軽めのオフロード走行を披露した。

ソルテラには、スバルのトレードマークである左右対称の全輪駆動システムに加え、滑りやすい路面でトラクションを高める「X-MODE(エックスモード)」が搭載されている。1輪が宙に浮くような状況では、ブレーキを自動的に調整して障害物を乗り越えていくことができるため、適度なオフロード性能を備えたEVと言えるだろう。210mmの最低地上高は、同じ電動小型クロスオーバーである「Volkswagen(フォルクスワーゲン)の「ID. 4」やTesla(テスラ)の「Model Y(モデルY)」よりも優れていると、スバルはLAオートショーにおける発表の際に強調していた。

先の発表イベントでは、スバルはソルテラが階段やオフセットランプのようなオフロードの障害物でテストしている映像を流し、この小型クロスオーバーがどれほどの性能を備えているかを示した。さらに「Jaguar I-Pace(ジャガー・アイペース)」のような競合車と、同じ障害物テストで対決までさせてみせた。

価格はまだ正式には発表されていないものの、スバルによれば、米国では3万9000ドル(約450万円)前後から購入できる見込みとのこと。ソルテラは2022年中旬までに日本、米国・カナダ、欧州、中国などの市場で販売が始まる予定だ。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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