水産養殖業が抱える課題の解決をめざすスタートアップのウミトロンは1月25日、新プロダクトの「UMITRON CELL」を発表。導入第一弾として、愛媛県愛南町の養殖現場への設置を開始したと発表した。
UMITRON CELLは、スマートフォンを活用して生簀(いけす)への餌やりを遠隔管理することができるスマート自動給餌機だ。生簀への餌やりは洋上で行うため、天候不良時には危険な環境下での作業となる。そのため、餌やりを遠隔管理できるCELLを利用すれば、作業員の労働環境の改善が見込める。ムダな餌やりを削減することは環境負荷の低減にもつながるだろう。また、作業員がもつ餌やりの量などのノウハウをデータ化することで、業務プロセスを体系化できたり、それを次の世代に伝承しやすいことなどもメリットの1つだ。
同社はこれまでにも、IoTにより餌やりを最適化するプロダクト「UmiGarden」を提供していたが、UmiGardenは給餌機と魚をモニタリングするカメラや魚群探知機が相互に通信するタイプであるのに対し、CELLはそれらの機能を一括して提供する一体型のプロダクトという点で異なる。ウミトロン代表取締役の山田雅彦氏によれば、これにより「システムの安定性、基本スペック向上による解析の自由度、電源供給量の増加」を実現したという。
ウミトロンはCELLの第二ロットの製造をすでに進めており、一般販売の計画を視野に入れながら実証実験のパートナーを広く募集中だ。