スマートイヤホンのメーカーで、これまでに5000万ドル以上の資金を調達しているDoppler Labsは、現金が枯渇し万策尽きて廃業した。Universal Music、Live Nation、Chernin Groupらが出資していた。
同社は今日(米国時間11/1)午前、顧客に向けて自社サイトに最後のメッセージを載せた。
もっともよく知られているのは、同社が開発したAppleのAirPods対抗のイヤホン、Here Oneで、ノイズキャンセリング機能のほか、”active listening” と呼ばれる周囲の雑音や交通、ジェットエンジンなどの音だけを消し人の声を聞けるしくみを備えている。
Wiredの長いインタビューで、CEOのNoah Kraftは、「ビッグファイブ」(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)との買収交渉は進展せず、Here Oneの低調な販売(2万5000台を売ったのみ)の結果追加の資金調達に走るほかなかったことを打ち明けた。熾烈なハードウェア世界には向いていなかったようだ。
「いまいましいことにハードウェアビジネスを始めてしまった。ほかに言うことなない。やるんじゃなかった」とKraftはWiredに話した。
この会社は比較的早くワイヤレスイヤホンのアイデアに目をつけ、初期製品のHere Active ListeningでKickstarterプロジェクトを立ち上げた。音楽の再生すらできず同社のアクティブリスニング機能だけを利用した製品だったが、それでも63万5000ドルの資金を集めた。当時Kraftはこのデバイスを、後に出す製品の「概念実証」だと話していた。
後に出たとの製品がHere Oneで、初期のデモは大いに私の興味を引き興奮を呼んだが、結局製造や機能の遅れで出鼻をくじかれた。このデバイスのアキレスの踵は非力なバッテリー寿命で、このため日々のリスニングを向上させるという約束の大部分が果たされなかった。当初同社の幹部はバッテリー寿命はAirPodsと同等と報道陣に伝えていたが、最終的に出荷された山ほどの最先端技術を詰め込んだは小さなパッケージには、1回の充電で2~3時間しか使えない代物だった。
誰の耳の中にもコンピューターのある世界、というDoppler Labsの先見的ビジョンが花開く日は来るのかもしれないが、それは別の会社が挑むべき課題になるだろう。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )