スマート貯金アプリのClincは、Numbrsの元CEO・ファウンダーが設立したフィンテックスタートアップ

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今年4月、Julien ArnoldはNumbrsのCEOを静かに退いた。Numbrsは「モバイルファースト」の銀行アプリで、Arnoldがスイスの起業グループ、Centralwayと共に設立した。1年近くたった今、彼は次のプロジェクトをスタートさせようとしている。Clincは、将来の購入や金融危機に備えて貯金するためのモバイルアプリだ。

Clincは、「ダイナミック・インテリジェンス・アルゴリズム」と呼ばれる手法を使ってユーザーの支出状況を追跡し、毎月最適な預金額を決定して、同社の提携銀行が管理するClinc定期預金に自動的に入金する。

彼は詳しく語らなかったが、ユーザーの出費傾向や予想される出費に基づいて、定期預金に移動する金額をアプリが動的に、リアルタイムで調節するところに秘密がありそうだ。

言い換えると、Clincの主たる命題は、ユーザーが財務的目標を早く達成するのを助けることだ。「これは財務テクノロジーが取り組むべき最大のチャレンジ」とArnoldは言う。

例えば、ユーザーはアプリに対して、新しいiPhoneを買うためにお金を貯めたいことをアプリに伝えることができる。するとClincは、現在の口座を調べて毎月いくら確保しておけばよいかを決めてくれる。レンタカーの支払いが増えるなどの理由で支出が増えた時は、アプリが貯金の割合を自動的に調整する。

「Clincは、ユーザーが確保すべき理想的金額を計算したら、Clinc口座(もちろんユーザーが管理している)にその金額を自動的に入金する」とArnoldは説明する。「この口座はわれわれの提携銀行が管理しており、2分以内に開設できる」。

現在Clincは非公開ベータテスト中で、ステルスモードで活動している。新たに出現したこのスタートアップは、今年中頃にドイツで本格的に開業し、2017年には英国および米国を含めて海外進出する予定だ。

Numbrsを去った理由についてArnoldに尋ねたところ、「Clincに大きな可能性を見出したのでこの新しいベンチャー立ち上げに集中したかった。Clincがユーザーに与える付加価値は膨大だ。ユーザーが財務目標を早く達成する手助けをすることによって、われわれは彼らの経済行動を変えようとしている」

彼は、Numbrsが引き続きCentralWay支配下で運営されることも語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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