今は、控えめに言ってもスモールビジネスにとって大変な時期だ。Fivestars(ファイブスターズ)のCEO、Victor Ho(ビクター・ホー)氏によると、大手のデジタルプラットフォームの多くはたいして役に立っていない。
ホー氏は、デリバリーサービスやユーザーレビュー、マーケティングツールを提供するといったプラットフォームはすべて同じ基礎モデルがあると主張している。ホー氏は「そうしたプラットフォームはスモールビジネスの顧客ベースを乗っ取り、スモールビジネスの顧客との接触でお金儲けをしようとしている」と述べている。
スモールビジネスの支払とマーケティングをサポートするソフトウェアを開発したFivestarsも表面的には、似たようなものかもしれない。
だがホー氏は、実際には「全く逆」のアプローチをしていると述べている。Fivestarsは「壁に囲われた庭」の中にいる顧客を使って中小企業にアクセス料を請求するわけではないというのがその理由だ。中小企業はその代わりにソフトウェア料を支払い、自分たちの顧客のデータベースを作ることができる。顧客と接触するためにお金を支払う必要はないのだ。
「これで利益が一致する」とホー氏は言う。
Fivestarsのプラットフォームには独自の支払製品、他社のPOSシステム(販売時点情報管理)との統合、顧客と6000万人におよぶ買い物客の幅広いネットワークにパーソナライズしたメッセージを届けるマーケティングオートメーションが含まれており、Fivestarsのさまざまな事業でクロスプロモーションが展開できる。
Fivestarsは米国時間10月16日、新しい資金5250万ドル(約55億円)を調達したことを発表した。シリーズDエクイティラウンドと借入れを合わせた合計資金調達は1億4550万ドル(約153憶円)になる。ラウンドにはSalt Partners(ソルトパートナーズ)を旗頭に、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、DCM Ventures(DCMベンチャー)、Menlo Ventures(メンロ―ベンチャーズ)、HarbourVest Partners(ハーバーベスト・パートナーズ)が参加している。
Fivestarsは新型コロナのパンデミック前にラウンドをクローズしていたが、チームはその発表を遅らせることにしたとホー氏は語る。顧客の多くが苦境に直面している中で、同社の銀行口座を誇示するのは賢明ではないと判断したためだ。
同社はパンデミックの最中「記録的な利用」を目の当たりにした。毎月100万人の新規買い物客がネットワークに参加していたという。またホー氏は同時に、パンデミックによってFivestarsはその戦略を変更せざるを得なくなったことに気付く。当初資金調達の目的は「既存の製品を通じて加盟店のポートフォリオを拡大する」ことであったが、ホー氏は「この期間で我々にとって必要なことが大きく変わり、支払とネットワークに力を入れることと、中小企業がこれまで以上に必要としているものに重点を置くことが必要になった」と述べている。
またホー氏によると、このパンデミック期間に同社は100万ドル(約1億500万円)以上の価値があるクレジットを顧客に提供し、より多くの自社製品を無料にしたとのことだ。
「スモールビジネスに素晴らしい回復能力があることは明らかです」とホー氏。「体験というカテゴリーにおいては特にそうでしょう。パリに旅行して妻をPizza Hut(ピザハット)に連れて行きますか?チェーン店にはまず行かないでしょう」と続けた。
資金調達の発表の際、フォートローダーデールにあるヘルスフードストア Tropibowls(トロピボウルズ)のNatasha Teague(ナターシャ・ティーグ)氏は、Fivestarsのプラットフォームが「大きな助け」となっていると説明した。
「お客様とコミュニケーションを図り、リアルタイムで最新情報を共有できることは計り知れないほどの価値があります」とティーグ氏。「Fivestarsの膨大なネットワークと支払の技術のおかげで、当店の再開プロセスは円滑に進みました。またパンデミックによる新しいニーズに対応するうえでのライフセーバーになっています」。
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カテゴリー:フィンテック
タグ:スモールビジネス、マーケティング、資金調達
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(翻訳:Dragonfly)