セコイアキャピタルがインド・東南アジア向けに1450億円でベンチャーファンドとグロースファンドを設立

Sequoia Capital India(セコイアキャピタル・インド)は米国時間7月6日にLP(リミテッド・パートナー)から13億5000万ドル(約1450億円)を調達し、新たなファンドを2つ設立することを発表した。著名なベンチャーキャピタルは世界第2位のインターネット市場である東南アジアへの投資を強化しようとしている。

2つの新規ファンドである5億2500万ドル(約560億円)のベンチャーファンドと8億2500万ドル(約890億ドル)のグロース(成長株)ファンドは、インドと東南アジアで運営する同ベンチャーファンド にとって、地域のスタートアップエコシステムを包括的に支援するために重要な存在だ、とSequia Capital IndiaのマネージングディレクターであるShailendra Singh(シャイレンドラ・シン)氏は語った。

「資金の調達は、非営利団体や基金、慈善団体が大部分であるSequoiaのリミテッドパートナーに、魅力的なリターンを提供するための責任である。我々は分野を代表する企業を設立している並外れた起業家と協力してこれを推進している」と同氏はいう。

Sequoia Capital Indiaは、元Google India(グーグル・インディア)のトップであるRajan Anandan(ラジャン・アナダン)氏と元Uber India(ウーバー・インディア)の責任者であるAmit Jain(アミット・ジェイン)氏を2019年に雇用し、同年に50件以上の投資を完了した。これはイmンドのどのVCよりも多い。

2019年インドVC上位、実施した投資の回数に基づく。画像クレジット:InnoVen

同社は14年前にインドでの投資を始め、2018年にはインドおよび東南アジア向けに6億9500万ドル(約750億円)のファンドを設立した(未訳記事)。同地域で6件目のファンドだった。

Sequoiaのインド・東南アジア部門である同社は、近年いくつか目立った投資を行っており、教育テックの巨人で現在時価総額105億ドル(約1兆1300億円)の(未訳記事)Byju’s、ライトシェアリング大手のGoJek、eコマースプラットフォームのTokopedia、シンガポールのeコマーススタートアップであるZilingoとフィンテックのスタートアップであるPineLabs、eラーニングのスタートアップであるUnacademy、フィンテック企業のRazorPay、小売業向け帳簿サービスのKhatabookなどが投資先として名を連ねる。2019年にSequoia Capital Indiaは、 インドのホテルスタートアップであるOyoの持ち株を大部分売却した。これまでにインドと東南アジアで11社のユニコーンを支援してきた。

Sequoiaの新規ファンドは、新型コロナウイルスパンデミックによる企業の崩壊(未訳記事)で一部の投資家が関心を失ったをときに登場した。インドの1人あたり収入は未だに世界最低クラスであり、ここ数年改善されていない。

「厳しい競争が頻繁に繰り返されるため、当地のスタートアップは短期間に健全な成長を果たすのに苦闘しており、非常に大きな損失を被る例も多い。このために大規模なテック系企業の出現が妨げられている。こうした課題に加えて、インドのスタートアップはNASDAQなどの海外証券取引所に上場するための制度的フレームワークを持たない。こうした市場環境の中で、ほとんどのスタートアップが非上場を続けているため、資金調達は成功の条件になっている」とSequoiaのシン氏はいう。

「これは別の方法を選ぶチャンスだと信じている。我々のエコシステムは分岐点に来ている」。

画像クレジット:Sequoia India

2019年にSequoia Capital Indiaは、アーリーステージのスタートアップを対象としたアクセラレータープログラムであるSurgeを立ち上げた(未訳記事)。これまでに約50社のスタートアップがSurgeに参加しており、一部のアナリストは当地におけるY Combinatorの魅力を減少させたとTechCrunchに話した。

インドではいくつかのベンチャーキャピタルが積極的に投資を行っており、2019年にインドではスタートアップ企業が新記録となる145億ドル(約1兆5600億円)の資金を調達した。ほとんどのインフラストラクチャーが未だに整備中のインドでは、巨人たちが将来の主要企業になるための早期投資を行う機会を得ている。

Flipkartに早期投資を行ったTiger Globalは、2019年だけでB2B事業を行うインドのスタートアップに何枚もの小切手を書いた(未訳記事)。General Atlanticはインド最大の通信会社であるReliance Jio Platformsに多額の投資をした。 Posus Venturesは、フードデリバリーのスタートアップであるSwiggyの初期投資家である(未訳記事)。そしてAccelは、6回目のベンチャーファンドを5億5000万ドル(約590億円)の規模でインド向けに2019年設立した

これは、中国投資家からの資金調達に苦心しているインドのスタートアップにとって朗報だ。Sequoiaを早期投資家として期待しているZomatoは、2020年1月に新規ラウンドでAnt Financialから1億5000万ドル(約160億円)を調達したことを発表した。フードデリバリースタートアップの同社は1億ドル(約110億円)の資金を獲得した、とZomatoの別の投資家であるEdgeが2週間前の決算会見で語った。

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画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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