Palo Altoに拠点を置くNautoは、既存の自動車にネットワークに接続したカメラデバイスを取り付け、運転の安全性を高めることにフォーカスするスタートアップだ。同社は現地時間19日、ソフトバンクがリード投資家を務めるシリーズBラウンドで1億5900万ドル(約180億円)を調達したと発表した(最近、ソフトバンクは出資に積極的だ)。Nautoのプロダクトは、ドライバーの行動データを集めて運転の安全性を高める役割を果たす。しかし、彼らのプラットフォームには、より大きな可能性を秘めた第2の役割がある。それはすなわち、自動運転車の開発に欠かせない巨大なデータセットを構築することだ。
孫正義氏によれば、ソフトバンクがNautoに注目した理由もそこにあるという。彼はプレスリリースのなかで、「Nautoは自動運転車の業界にとって非常に価値のあるデータセットを生み出しています。それも、巨大なスケールで」と話す。同社は、既存のテレマティック・ビジネスで売上をあげているだけでなく、現実世界で日々行なわれている自動車の走行から大規模なデータを収集しているのだ。
その他にも、このデータに価値を見出した多くの自動車系ファンドがNautoに出資している。General Motor Ventures、Toyota AI Ventures、BMW iVenturesなどがその例だ。今回の資金調達により、Nautoはデータ収集のペースを格段に加速することができる。Nauto CEOのStefan Heck氏は、「より迅速に…何十億キロメートル分もの走行データや走行体験を収集することができます。また、そのようなデータは優良ドライバーたちの行動様式を正確に理解するためには欠かせないものなのです」と語る。
フロントガラスの前に取り付けるNauto製のデバイスには、2つのカメラが搭載されている。クルマの内部に向けられたカメラがドライバーの行動を撮影し、もう1つのカメラは進行方向の道路を撮影する。Nautoはデバイスから集めた映像データをディープラーニングとコンピュタービジョン技術を用いてクラウド上で解析する。そして、そのデータをもとにドライバーに注意喚起を行ったり、より安全な運転方法のコーチングサービスなどを行うのだ。
しかし、Nautoの最大の特徴はその導入コストの低さである――デバイス自体が安価なうえ、取り付けも簡単ですぐに導入できる。自動運転車の最大の課題とは、単純にその絶対数が足りないことだ。Nautoはその課題を解決するには最適なポジションにある。フリクションが少なく、低コストで導入が容易なNautoのデバイスは、取り付けた後すぐにその価値を発揮してくれるのだ。
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