ソフトバンクなどから総額約1710億円調達した不動産仲介スタートアップ「Compass」が上場申請

総額16億ドル(約1710億円)のベンチャー資金を調達したニューヨークに拠点を置く不動産仲介のスタートアップCompassがが新規上場のために証券取引委員会にS-1申請書を提出した。新型コロナウイルスによるパンデミックで経済活動が急減速したこととにともない、スタッフの15%のレイオフを余儀なくされたのはちょうど1年前のことだ。

同社は現在、SoftBank Vision FundがCompassの3分の1強を保有して筆頭株主となっている。Crunchbaseによれば他の投資家にはカナダ年金投資委員会、Fidelity、Wellington Management、Qatar Investment Authority(カタール投資庁) どが含まれている。

同社が最新の資金調達は2019年7月で、会社評価額64億ドル(約6835億5000万円)で3億7000万ドル(約395億2000万円)のラウンドを実施した。同社はハイテクアルゴリズムにより売手、買手、仲介者の三方を益する不動産業界向けマーケットプレイスを構築している。

企業が上場を申請すると我々は、その財務状況を非常に詳しく知ることができるようになる。Compassは通年ではまだ赤字だがここ数年、売上は急増している。

S-1上場申請書によれば、同社の収入は2016年の1億8680万ドル(約199億5000万円)から2020年にはなんと37億ドル(約3951億9000万円)に膨張している。売上増加は主として直近の2年間の成長によるものだ。Compassは多数の不動産エージェントと契約するビジネスモデルであるため、売上の大部分は代理店に直接支払われる。2020年には約30億ドル(約3204億3000万円)の手数料が支払われた。Compassは2020年の純損失は2億7000万ドル(約288億4000万円)で、これは過去2年間とほぼ同額だ。

プラットフォームを利用した取引総数は2018年の2万7000件から2020年には14万5000件に急増し、総取引額(同社が仲介した不動産の価値)も340億ドル(約3兆6320億円)から1520億ドル(約16兆2360億円)へ約5倍に増加した。手数料は不動産価値に対する一定の割合で計算されるためトランザクションの額は売上に直接反映されることになる。2020年12月31日現在、同社のラットフォーム上に登録しているエージェントは1万9385人となっている。

ただしCompassはパンデミック以前からもそれなりのトラブルを抱えていた。2019年9月にWall Street Journalは過去18カ月間に最高財務責任者、最高マーケティング責任者、最高技術責任者を含む多くの幹部社員が同社を離れたと報じている。

【更新】この記事はCopassプラットフォーム上のエージェントの数をアップデートしている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:CompassIPO不動産Softbank Vision Fund

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo, Danny Crichton、翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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