ソーシャルオーディオアプリClubhouseが800万ダウンロード超え、2021年2月前半に急増

ソーシャルオーディオアプリClubhouse(クラウブハウス)はまだ正式リリース前で現在は招待制であるにもかかわらず、世界のダウンロード数が800万回を超えた。モバイルデータ分析会社App Annieが2月18日に発表した新たなデータで明らかになった。推定によると、Clubhouseの世界のダウンロード数は2021年2月1日時点で350万回だったが、2月16日には810万回に達した。この急激な増加は、Tesla(テスラ)とSpaceX(スペースエックス)の創業者Elon Musk(イーロン・マスク)氏やFacebook(フェイスブック)のCEO、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏など何人かの有名人がゲスト登場したことによるものだ。

App Annieはまた、260万回超のインストールが米国でのものだったと推定している。この数字はClubhouseが世界にアピールしていることを強調するものだ。

画像クレジット:App Annie

一方、Clubhouseは公式のダウンロード数や登録ユーザー数を公開していないが、CEOのPaul Davison(ポール・ダビソン)氏は2021年1月にClubhouseの週アクティブユーザー数が200万人に成長したと明らかにした。つまり、月間アクティブユーザー数や登録ユーザー総数はそれよりも多いことを意味する。Clubhouseの登録ユーザー数は600万〜1000万人という推定もある。

App AnnieのレポートについてClubhouseにコメントを求めたが、ユーザー数は公開しなかった。

アプリのインストール数は通常、登録ユーザー数を表すものではない。多くの人が往々にしてダウンロードしたアプリを立ち上げたりサインアップしたりしないからだ。しかしClubhouseの場合、アプリをインストールする人は参加する気があり、この2つの数字はかなり近い。Clubhouseは一般公開されていないため、アプリをインストールしようとしているユーザーはClubhouseの招待を受けているか、すでに利用している友達か親しい人から招待されることを目指しているかだ。

レポートはまた、Clubhouse現象がアプリエコシステム全般に対して、いかに影響をおよぼしているかも指摘した。独自のソーシャルオーディオ体験を提供しているClubhouseの各地域のライバルたちのダウンロード数もこのところ増えている。ライバルには中国、米国、エジプト、サウジアラビア、トルコでユーザーを引きつけているDizhua、Tiya、Yallaなどがある。

たとえばDizhuaは17万4000回のダウンロードがあり、Tiyaは600万回、Yallaは3450万回だったとレポートにある。なかでもYallaは2016年からサービスを展開しており、Clubhouseの人気がYallaのダウンロード数を押し上げている。

これらひと握りのライバルだけでなく、SonarLocker RoomQuiltYoni CircleRoadtripSpaceCapiche.fmYacCappuccinoなどのアプリを含め、ソーシャルオーディオ体験は爆発的に増えている。一方、TwitterはSpacesというClubhouseのライバルを構築中で、同社は米国時間2021年2月17日に3月までにAndroidにサービスを拡大すると明らかにした。FacebookもClubhouseのライバルとなるものを計画しているとの報道もある

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そして現在、みんなの心に浮かぶ疑問は、この成長がどれくらい持続可能なのかということだ。Clubhouseは「長々と話すことで会話を独占する傾向がある人に合う」「そうした会話の多くは退屈なだけ」「Clubhouseは取り憑かれた『ハッスルカルチャー』をサポートするもの」といった懐疑論者は指摘する。また一部の人は、ソーシャルオーディオアプリが新型コロナウイルス後の世界でどのくらいやっていけるのかを疑問視している。コロナ禍後はやることが多くあり、そこには従来のネットワーキングイベントの復活も含まれる。

しかしこうした懸念は、ソーシャルオーディオが、ポッドキャストの視聴やオーディオブックといったモバイルでの話し言葉によるオーディオアクティビティに取って代わることでマーケットを開拓する可能性があることを考慮していない。もちろん、まだパンデミックは続いており、そしてアプリが完全に一般公開されていないことからClubhouseの未来についての疑問の答えを得るのは時期尚早だ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ClubhouseSNS

画像クレジット:Freepik / Kristina Astakhova / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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