オーストラリアの議会は木曜日、ソーシャルメディアに共有コンテンツの責任を問うため、おそらく最も厳しい法的措置となるものを通過させた。
ニュージーランド・クライストチャーチのモスクで50人が殺害されてからまだ数週間だが、オーストラリア下院はソーシャルメディアプラットフォームに、誘拐や殺人、レイプ、テロ攻撃といったコンテンツを迅速に削除することを求める法案を通過させた。もしプラットフォームがそうしたコンテンツをタイムリーに削除しなかった場合、ソーシャルメディア企業は最大で年間売上高の10%の罰金を科せられる。
「ソーシャルプラットフォームはそうした目的で武器として利用されるべきではない」と豪司法長官Christan Porter氏は述べた、とNew York Timesの記事で紹介されている。「インターネットプラットフォームは、忌まわしい暴力的なコンテンツのオンライン上での拡散を真剣にとらえるべきだ」とも付け加えた。
この法律をめぐってオーストラリアでは、言論の自由、検閲、そして世界中で必要性が叫ばれているコンテンツモデレーションについての論争が展開された。
インドはまた、ソーシャルメディアプラットフォーム上で意図的誤報の拡散を制限する方策を提案されている。この案では、法の支配で攻撃的な動きを見つけられるかもしれないが、法律が言論の検閲にあたるかどうかという議論が起こった。そうしてEUは、ヘイトスピーチに対応するための2016年と2017年に制定された規制を、ソーシャルメディアプラットフォームがなかなか遵守できていないとしている。
FacebookやGoogle、他の企業を代表するグループはすでにオーストラリアでの規制に反対する声をあげている。
「有意義な諮問なしに5日間で通過したこの法律は、悲劇的なクライストチャーチでのテロ事件の根本的動機となったヘイトスピーチの問題を解決するのに何の役にも立たない」とソーシャルメディア企業を代表するDigital Industry Groupの最高業務責任者であるSunita Bose氏はニューヨークタイムズに対し語った。
ソーシャルメディア企業は、自らに課した基準に関してたくさんの問題を抱えている。Facebookは白人至上主義や白人国家主義を唱える投稿を削除すると約束していたにもかかわらず、そうした決定をものともせずに今週投稿されたコンテンツを削除しなかった。
悪名高いカナダ人の白人至上主義者のFaith Goldyは今週始め、白人至上主義を宣伝していると十分に認められるであろうコンテンツを投稿した。その投稿とは、(Verizon Media Groupが所有する姉妹媒体の)ハフポストのレポートによると、ユダヤ人や有色人種に、彼らが侵略した白人主体の欧州の国々に借りを返すことを求める、というものだ。
Facebookが白人至上主義コンテンツを禁止すると約束した後にGoldyが投稿した、「RACE AGAINST TIME」というタイトルがつけられたビデオの中で、Goldy下記のように話している。
The Great White North(カナダ)は1世代にも満たない期間で多数派が少数派になると運命付けられている。トランプ大統領が舵を取っている米国ですら、容赦なく進む人口構成の交替から逃れられていない…白人は1世代期間以下で米国において少数派になるだろう。
ヘイトスピーチを削除するという点において後ろ向きで反抗的だとして避難を浴びてきたYouTubeはヘイトスピーチのコンテンツを禁止するが、ビデオプラットフォーム上で閲覧できる状態を許している。
今週初めにBloombergが報じたように、YouTubeの何人かの従業員が嘘やプロパガンダ、そしてヘイトスピーチを拡散させるプラットフォームの役割について懸念を示した。Bloombergのレポートによると、多くの従業員が誤報やヘイトスピーチ、不審な内容を含む悪意のあるビデオの拡散を止めようと行動を起こそうとしたが、そのたびにそうした従業員は管理職によって困った立場に追いやられたという。
米国政府ですら白人至上主義問題と、ヘイトスピーチ拡散においてソーシャルメディアプラットフォームが持つ役割を認識しつつあり、また注意を払うようになっている。下院委員会前での今日の証言で、FBI長官のChristopher Wray氏は白人至上主義者のコンテンツの増加について尋ねられた。
「私が考えるに、白人至上主義者の暴力的な極端さや、その他の暴力的な過激主義の危険性は、当然見過ごせないものだ。絶え間なく拡散する脅威だと認識している」とWray氏は述べた。「米国における一般的なドメスティックテロ(編集部注:国外ではなく国内の組織・個人が起こすテロのこと)は、さほど組織化されておらず、また計画的でもなく、体系化された階層とは逆の、まとまりのない一度限りの個人によるもの、というふうに変わってきている。これにはソーシャルメディアの浸透が関わっている」。
Image Credits: Carl Court / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)