タイの食料サプライチェーン合理化のFreshketが約3.2億円を調達

バンコク拠点のFreshket(フレッシュケット)は新鮮な農産品を農場からテーブルに届けるプロセスを簡素化する。2017年に創業された同社はOpenspace Ventures(オープンスペース・ベンチャーズ)がリードするシリーズAラウンドで300万ドル(約3億2000万円)を調達した。

本ラウンドにはタイのプライベートエクイティファームECG-Research(ECGリサーチ)、Innospace(イノスペース)、そしてインドネシアの農業テクノロジースタートアップTaniHub(タニハブ)の創業者であるPamitra Wineka(パミトラ・ウィネカ)氏とIvan Sustiawan(イヴァン・サスティアワン)氏も参加した。また、既存投資家のフランス・シンガポールの食品複合企業Denis Asia Pacific(デニス・アジア・パシフィック)とタイのファミリーオフィスSeedersclub(シーダースクラブ)も出資した。

Freshketのテクノロジーには、農家や食品加工業者をレストランなどの事業者やタイ国内の消費者につなげるeコマースマーケットプレイスが含まれる。FreshketはCEOのPonglada Paniangwet(ポングラダ・パニアングウェット)氏とCMOのTuangploi Chiwalaksanangkoon(ツアンプロイ・チワラクサナンクーン)氏が共同で創業した。3年前にFreshketを設立する前はそれぞれマーケティング業界で働いていた。

パニアングウェット氏はTechCrunchに対し、彼女自身の家族が25年間農業に従事していたためにアグリテックに参入したかった、と話した。「この業界で上手くいったこと、上手くいかないことについて多くを学びながら育った」と同氏は述べた。「結局、この業界は退屈で、乱雑で、かなり手作業に頼っている」。

Freshketの目標は「食料サプライチェーン全体の後援者」になることだと同氏は付け加えた。

Freshketの前にパニアングウェット氏は、レストランや他の業者に届ける前に生鮮卸売市場で生鮮食品を仕入れ、カットして整える加工処理センターを始めた。同氏はサプライチェーンを簡素化し、農家の収入を増やし顧客が受け取る食品の質を上げるのにテクノロジーを活用することができると気づいた。

またマーケット機会も広がっていた。Euromonitor Internationalの2019年4月のレポートによると、タイにおける食品サービスマーケットはレストラン20万店超による年間購入額として77億ドル(約8180億円)の価値がある。

パニアングウェット氏の良き友だったチワラクサナンクーン氏はタイ最大の銀行の1つを辞めてFreshketを共同で創業した。同社のプラットフォームは、加工センターやサプライヤーを集約し、そうした業者を通常仲買人に頼る農家と直接つなげることでタイの細分化された農作物サプライチェーンをまとめた。Freshketはまた、作物の需要供給を予測するのに役立つデータをユーザーに提供している。

配達事業の運営費用、特に腐りやすい商品のものはかなり高くなる。費用対効果を確保するために、Freshketは生鮮食品を保管しない。その代わり、同社は農家を含むネットワークに需要に応えるためにどれくらいの商品を必要とするかを毎日伝え、サプライチェーンを計画できるようにしている。

パニアングウェット氏はまた、B2Bの食品配達事業は注文平均額が高く、ユニットエコノミクスを高めていると語った。Freshketの注文、倉庫、物流管理システムはすべてリンクしており、「このために当社は商品の流れを管理でき、追加の費用や人件費を抑え、コストベース全体を対処できるものにしている」と付け加えた。

FreshketのB2B業界における主なライバルは従来のサプライチェーン事業者だ。コンシューマー業界ではグローサリー配達スタートアップと競合する。Freshketはすでに合理化されたサプライチェーンを利用しており、同社は安い小売価格を提供する配達アプリと競争を展開している。B2B顧客に対するFreshketのセールスポイントは、正確な配達、豊富な品揃え、農産品の格付けだ。

Freshketが新たに調達した資金はサプライ管理テクノロジーを改善するのに使われる。将来的には融資や需要予測、価格マッチングなどのサービスにも手を広げたい、とパニアングウェット氏は話した。

東南アジアマーケットでは、さまざまな国の食品サプライチェーン合理化に注力しているスタートアップがいくつかあり、Freshketはそのうちの1社だ。他には、TaniHub(未訳記事)、インドネシアのEden Farm(未訳記事)、カンボジアのAgribuddy、シンガポール拠点のGlifeなどがある。

東南アジアのアーリーステージ企業を専門とするOpenspace Venturesにとって今回が3件目のアグリテック投資となる(他の2件はTaniHubと、シンガポールのグローサリープラットフォームRedMartだ)。

投資についての発表文の中で、Openspace VenturesのファンディングパートナーであるHian Goh(ヒアン・ゴー)氏は「高品質でイノベーティブなスタートアップにとってタイのマーケットは可能性を秘めていると我々は確信している。当社のタイにおける今年2件目の投資としてFreshketは我々の確信を反映している」。

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タグ:Freshket 資金調達 農業

画像クレジット:Chonticha Vatpongpee / EyeEm / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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