チャットボットだけではダメ――CRMを加えて新展開のZEALSが約8000万円を調達

チャットボットサービスを提供するZEALS(ジールス)は本日、フリークアウトを引受先として、約8000万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。また、今回これまで展開していたチャットボットの開発運用サービス「BOT TREE」をリニューアルした。メディア向けに特化した「fanp(ファンプ)」と企業のマーケティングのニーズに応える「fanp Biz」を本日よりローンチする。

fanp(ファンプ)は、メディア向けに読者と関係構築を図るためにチャットボットとCRM(顧客関係管理)を組み合わせたサービスとZEALSの代表取締役CEOを務める清水正大氏は説明する。

メディアはfanpでチャットボットを開設し、自社サイトなどにウィジェットを設置してユーザーを募ることができる。メディアはfanp内から記事のリンクをコピー&ペーストするだけで、ユーザーに配信する記事を選択することが可能だ。

fanpの特徴はボットでの配信だけでなく、CRMとしての機能もあることだ。これまでメディアは読者との関係構築のためにメルマガ配信などを行ってきたかもしれないが、それではメールアドレスは取れても、具体的にどういう人なのか知ることはできなかった。また、FacebookページやTwitterを運用していても、一方向のコミュニケーションになりがちだった。

fanpはチャットボットでの記事配信と双方向のコミュニケーションを特性を活かし、メディアと読者のエンゲージメントを高めたい考えだ。チャットボットが取得したユーザーのプロフィールを元に、例えば属性ごとに配信を行ったり、簡単なアンケートを行ったりすることも可能だという。

もう1つの「fanp Biz」は、企業のマーケティング用途に対応するものだ。Facebookのニュースフィード広告はMessengerボットと紐付けることができる。fanp Bizでは、企業はそうした広告と連動し、ユーザーにプロダクト紹介や資料請求に対応できるボットの作成やボットへの集客を支援するサービスという。「これからランディングページや資料請求といった申し込みは、チャットボットが代替するようになります」と清水氏は話す。

ZEALSはBOT TREEは2016年6月にローンチした。BOT TREEは読者の好みを機械学習で学習するなど高機能だったもの、利用企業にエンドユーザーのニーズにどのように応えて、どのような効果が得られるかを明示できていなかったと清水氏は話す。

その反省を踏まえ、今回のfanpのリニューアルにあたってはユーザーとの検証を重ねて、効果を生む機能だけを実装したと清水氏は言う。「企業との二人三脚で分かったことは、彼らが求めているのは色々な会話を簡単にボットに組み込めるインターフェースではなく、エンドユーザーがどういう人で、どういう使い方をしているかを知り、それをコンテンツ作りに活かせるサービスということ」。使い勝手やアナリティクス画面などもユーザーの意見をヒアリングしながら作り込んだという。

調達した資金はチームの増強とマーケティングに充てる予定だそうだ。また、fanpは国内のみならず、海外でも伸ばしていきたい考えだという。また、資金調達と同時にZEALSはフリークアウト・ホールディングとの協業を発表している。フリークアウトは広告やマーケティング関連のサービスを提供しているが、彼らの技術面と営業面、そして海外展開の面で協業していくという。

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TechCrunch Japan

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