ツイキャスが1億5000万配信突破で加速、ライブ配信は地域ごとの群雄割拠となるか?

Twitterがライブ映像のストリーミングアプリ「Periscope」を買収したり、もともと2015年3月頃に入って急激にブームを巻き起こしつつあった対抗馬の「Meerkat」をTwitterが骨抜きにしたりと、何かと今シリコンバレー界隈では、ライブストリーミングに注目が集まっている。

一方、日本国内では品質の高い3G回線と定額サービスが全国津々浦々に広がっていることから、早い段階から、ライブストリーミングサービスが立ち上がっているのはTechCrunch読者の皆さんであればご存じの通り。中高生、大学生の3分の1が使っているというほど若者に支持されいてるサービス「ツイキャス」や、DeNAのShowroomが注目だ。mixiも昨日、「きみだけLIVE」というサービスを開始していたりする。

そんな中でもツイキャスの伸びが加速しているようだ。運営元のモイによれば、2010年2月のサービス開始以来約5年となる2015年3月に累計配信回数が1億5000万回を突破した。ちなみに1億配信突破は2014年9月、1000万配信突破は2013年3月と、サービスの伸びに弾みはついているようだ。以下は、モイによるデータだ。

・2010/2/3 1,000 配信突破
・2010/2/6 10,000 配信突破
・2010/4/9 100,000 配信突破
・2011/1/29 1,000,000 配信突破
・2013/3/4 10,000,000 配信突破
・2014/9/14 100,000,000 配信突破
・2015/3/12 150,000,000 配信突破

配信数増加の要因としてモイが挙げるのは、2014年10月に開始した高画質配信によるユーザー層の拡大で、これまでの一般ユーザーによる配信だけでなく、ファッション誌の公式配信やアーティストの弾き語り配信やライブの配信、イベントの公式中継、ショップからの配信、政党の公式配信など多様な配信が登場しているという。

ツイキャスは、従来から帯域が細い場合でもデータ通信を最適化することで途切れのないストリーミングができる技術を独自開発していがが、今は「規制回線モード」も提供していて、これもユーザー数増に奏功しているそうだ。特に若い人に多いと想像するのだけど、スマホユーザーの中には、月末に近づくと各キャリアに通信規制をかけられて、モバイル環境で動画を見られないられない状況になる。そんなわけでツイキャスでは今年1月から通信速度制限下でも視聴ができる機能を提供している。ちなみに、2014年3月には最大4人でライブ配信ができる「コラボ配信」機能というのもリリースしている

ツイキャスのユーザー数は日本語、英語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語、韓国語など合わせて約800万人。モイは2014年6月に500万ドルの資金を調達している

ストリーミングサービスは地域ごとの群雄割拠になるのか?

ぼくが気になるのは、いまシリコンバレーで起こっているライブストリーミング・サービスの突然の勃興がツイキャスなど日本発のサービスに与える影響だ。mixiがFacebookに負けてしまったり、かつて「リアル」と呼ばれた日本独自のサービスがTwitterに駆逐されてしまったように、TwitterがPeriscopeを統合して公式サービスとすることで、この市場を圧倒してしまうことになるのか。それとも、LINEやWhatsApp、WeChatのようなメッセージングアプリのように、地域ごとに異なる文化を発達させた上で、それぞれのストリーミングサービスが併存することになるのか。

ライブ配信サービスでは、メッセージングサービスほどネットワーク効果は強くはなさそうだ。自分1人が友だちと異なるサービスに移行してみても、見る側が同じサービスを使ってくれなくては仕方がない。とはいえ、グループやコミュニティ単位でのサービス移行はメッセージングサービスよりは容易で、スイッチングコストは低い。これからライブ配信サービスを利用する商業アカウントであれば、なおさらだ。ツイキャスは、すでに若者を中心にコミュニティを形成しているから、Popteen編集部ツイキャス部のようにツイキャス上でアカウントを開くことにはメリットあるだろう。こうした先行サービスの強みと、シリコンバレー発のサービスがどうぶつかっていくのか見守りたいところだ。


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。