ツイッターが想定より利用者が少なかったストーリーズ機能「Fleet」を8月3日に停止へ

Snapchat(スナップチャット)、Instagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)、Facebook(フェイスブック)などのソーシャルプラットフォームでは、一定期間で消えてしまうストーリー機能がクールな場所となっている。しかし、Twitter(ツイッター)に限っていえば、この製品自体が数日のうちに消えてしまうようだ。Twitterは、わずか8カ月前に一般提供を開始したエフェメラルな「ストーリーズ」のTwitter版である「Fleet(フリート)」が、2021年8月3日にサポート終了されると確認した。

同社によると、Fleetで最初にターゲットにしようとしていた、積極的でないTwitterユーザーの間でアクティビティが不足していることが理由だという。Twitterのコンシューマープロダクト部門の責任者であるKayvon Beykpour(カイヴォン・ベイクプール)氏は、同社は他の製品を開発する予定だと述べているが、それらの製品にエフェメラルな要素を取り入れるかどうかについては言及していない。

Clubhouse(クラブハウス)に代わるものとして開発されたSpaces(スペース)は、現在アプリ上部のFleetと同じ場所に配置されており、Fleetがなくなれば、横長のカルーセルを独占することになる。

一方、プロダクト担当VPのIlya Brown(イリヤ・ブラウン)氏のブログ記事によると、2021年6月に実施したばかりのフルスクリーン広告のテストなど、Fleetのために構築したものの一部は、アプリの他の場所で再登場する可能性があるという。

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これまでFleetについて耳にしたのは、TwitterがFleetを発表したとき、何らかのイタレーションを行ったとき、あるいは技術的な不具合に直面したときだけだったことを考えると、今回の発表は驚くべきことではない。バイラルな人気や注目を集めたFleetという意味では、あまりニュースはなかった。

何よりも今回の終了は、Twitterが自社製品をより多くのユーザー層に受け入れられるようにするために、また、傍でポップコーンを食べながら座って様子を見ているだけのユーザーをいかに開拓してエンゲージメントを高めるか、苦心している様子を浮き彫りにしている。

Twitterが2020年3月に一部の市場でFleetのテストを開始したとき、同社は、人によってはTwitterの永続的なフォーマットに抵抗を感じて、他のユーザーほど多くのツイートをしていないのではないかと考えていた。そこでTwitterは、ツイートを消してしまえばもっと多くの人が投稿するようになると考えた。それに、他のソーシャルプラットフォームでもこのフォーマットは人気を博していた(2020年にTwitterが動く前、同アプリはストーリー形式を導入していない数少ないソーシャルメディアの1つだった)。

少なくとも、Fleetが全世界で提供開始された当初、利用者が急増してクラッシュしたことをポジティブな指標と考えるとすれば、この機能の初期展開には期待が持てた。

しかし長期的に見ると、そのようなおとなしいTwitterユーザーはFleetにもあまり興味がなく、Fleetとしてストーリーを投稿しているのは、すでにかなりアクティブなユーザーだけであることがわかった。

ただし、どれだけのパワーユーザーがFleetを利用していたのかも明確にはわからない。Twitterは、Fleetの利用者数やその他の統計情報の提供を拒否した。

Fleetのユーザーエクスペリエンスに関して、Twitterが解決しなかった問題は他にもあった。例えばTwitterがSpacesを立ち上げたときに、Fleetと同じ場所に表示されたことは問題だったのか、混乱を招いたのか。あるいは、その明確さの欠如は、Fleetの災いの前兆だったのだろうか?

また、Fleetでは、Twitterがどのようにそのスペースに何を表示するかを決めたのか、完全には明らかになっていなかった。何千ものアカウントをフォローしていユーザーもいる中で、Fleetのために特定の人々をフォローする方法もなかったから、何を見られるかはTwitterのアルゴリズム次第だった。

Twitterは、これまでの実績が不十分であったとしても、より多くの実験を行うことに否定的ではないようだ。「大きな賭けはリスクが高く投機的なものですから、定義上、いくつかの賭けはうまくいかないでしょう」とベイクプール氏は語っている。「逆に、もしたまに機能を停止する必要がないのであれば、それは我々が十分に大きなスイングをしていないことの表れといえます」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS

画像クレジット:Twitter / supplied

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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