ツイッターのポリシー違反対応措置が2019年下半期に増加、新設されたTwitter Transparency Centerがレポート

Twitter(ツイッター)は、2020年8月19日に新設したTwitter Transparency Center(ツイッター透明性センター)から年2回の同社サービスにおける透明性に関するレポートを発表した。同社によると(Twitterブログ)、同センターはレポートへの理解とアクセスを容易にするデザインとなっている。立ち上げのタイミングは、今回の報告期間である2019年下半期をカバーする最新の透明性レポートのリリースの遅れに合わせて調整された。リリースが遅れたのは、新型コロナウイルス(COVID-19)の健康危機と新しい透明性センターの稼働準備作業が原因だという。レポートはツイッターがポリシーの実行にこれまで以上に力を入れていると主張している。例えば、誹謗に関するポリシー違反により措置の対象となったアカウントが95%増加、アカウントのロックと停止が47%増加、悪意ある行為に関するポリシー違反のために措置の対象になったアカウントが54%増加した。

ツイッターは、人間によるレビューのためにコンテンツ違反を「プロアクティブに」公表することが詳細なポリシー、改善されたレポートツール、その他の要因とともにルール適用強化に役立つと主張している。

結果として、今回の報告期間において、ツイッターの誹謗に関するポリシーに基づく措置の対象となったアカウント数の増加は最大となった。これはツイッターが主張するように優れたテクノロジーによるものかもしれないが、おそらくオンライン上の言説の内容が変化していることもある。

ツイッターは、ヘイト行為を示すアカウントに対する措置が増えているのは、2019年7月9日に発表された新しい「非人間的に扱うことに関するポリシー(dehumanization policy)」に一部起因していると考えている(Twitterブログ)。

ツイッターは今回の報告期間中、他の領域でルールの適用を強化した。センシティブなメディアやアダルトコンテンツの投稿(措置実施が39%増加)、自殺および自傷行為(措置実施が29%増加)、ドキシング(他人の個人情報をネット上にさらすこと、措置実施が41%増加)、合意のないヌード(措置実施が109%増加)などだ。減少した唯一の領域は身体的脅迫であり、ポリシー違反のために措置実施に至ったアカウント数は5%減少した。

ツイッターはまた、規制対象の商品やサービスに関するポリシー違反により、6万807のアカウントに対して措置を取った。

オンラインでの嫌がらせは、ツイッターの普及にともない大きな課題となっている。現在のソーシャルネットワークは幅広く一般市民が利用しており、テックおたくの間で「twttr」という一種の公開SMSとして知られていた初期の時代とは異なる。今日、「オンラインの町の公共広場」というツイッターの理想的な目標は、モデルの限界にぶつかっている。これはツイッターの現状に対する間違った(未訳記事)あるいは妄想的な類推(Medium投稿)だとの批判が高まっている。

ツイッターは多くのソーシャルメディアと同様、科学的根拠の薄い傍流の主張、言い争い、有害コンテンツを過度に増幅(The New York Times記事)し、コミュニケーションの健全性を損なう恐れがある。ユーザーの意見の二極化を助長しかねない(PNAS記事)。キャンセルカルチャー(過去の問題発言や行動が掘り起こし、その人物を糾弾する動き)の温床となる(USA TODAY記事)。

同社自身は最近、ある考えについて議論する際に世界を「1つの部屋」にまとめることにともなう問題と、その結果誤情報を増幅するリスクに気づき始めたようだ。

ツイッターは2020年7月に、傍流の陰謀論やQAnon(Qアノン)のアカウントを一時停止した(The New York Times記事)。またトランプ氏のツイートにフラグを立てスクリーニングし、同氏による誤情報の拡散を一時凍結した。プロダクトの面では、ツイッターはツイートに価値をもたらさないリプライをユーザーが非表示にできるツールを公開した。先週、一般ユーザーではなく友達やフォロワーに限定してツイートできる機能も公開しているている(未訳記事)。

2019年下半期に起こった大きな変化は誹謗に関するポリシーの導入だけではない。ツイッターによると、政府からのユーザーデータの請求も増加している。

今回の報告期間では法律に基づく情報請求は米国が最も高く、全世界の26%を占めた。2位は日本で22%を占める。全体として、2019年7月1日~12月31日の政府からの請求は21%増加し、請求の対象となったアカウント数は63%増加した。

いずれの指標もツイッターが2012年に透明性レポートの発表を開始して以来最大となったとツイッターは指摘した。

ツイッターはまた、9万8595のアカウントのコンテンツを削除するよう2万7538件の法律に基づく請求があったと発表した(Twitterリリース)。これも過去最多だ。請求の86%を日本、ロシア、トルコが占める。

「当社は常にたゆみなく、全社を挙げて透明性への取り組みを強化している。コンテンツの管理、データの開示、その他の重要な領域に関して当社が実践していることやポリシーの仕組みについて、引き続き認識と理解の向上に努める」と新しいセンターに関するブログ投稿で述べた。「さらに当社はあらゆる機会を利用して、ツイッターや世界中で当社のサービスを利用する人々に影響を及ぼす法執行機関、政府、その他の組織の行動に光を当てていく」と述べている。

スパム、テロ、児童搾取、過激主義などに関するより多くの指標が新しいTwitter Transparency Centerで入手可能だ。

関連記事:Twitterがトランプ陣営のアカウントを凍結、新型コロナの偽情報シェアを理由に

カテゴリー:ネットサービス

タグ:Twitter SNS

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。