テック企業のロビー活動を行ってきた米国のInternet Associationが解散

シリコンバレーの大手企業を代弁する業界団体が解散することになった。テクノロジー業界がワシントンで規制監視の新時代に突入する中でのことだ。

Internet Association(インターネット協会)は、過去9年間、ワシントンでテック企業の利益のために戦ってきたロビー活動グループだ。Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)、Twitter(ツイッター)、eBay(イーベイ)、Spotify(スポティファイ)、Zillow(ジロウ)など、特に知名度の高い大企業から下位の企業まで、合わせた利益を発展させるために議員に働きかけてきた。この団体が店仕舞することになったと、Politico(ポリティコ)が最初に報じた

「インターネット協会が10年近く前に設立されて以来、私たちの業界は驚異的な成長と変化を遂げてきました。この進化にともない理事会は2021年末に組織を閉鎖するという困難な決定を下しました」と、同グループが発表した声明文には記されている。「【略】インターネット協会は、自由でオープンなインターネットを通じて、イノベーションを育み、経済成長を促進し、人々に力を与えるという使命において、大きな進歩を遂げてきました」。

近年、インターネット協会のメンバーの中には、ポリシーに関する問題で直接対立している企業もある。この不和は、インターネット協会で最大の企業同士でさえ、特徴的な題目に関しては拡大しているようだ。インターネット協会は、通信品位法(Communications Decency Act)の第230条を現状のまま維持することを支持しているが、インターネット協会のメンバーで現在のFacebookの親会社あたるMeta(メタ)は最近「第230条の保護を得る」ために、法律を変えることに前向きであると議員に語っている。

この団体はAI、ブロードバンド、コンテンツ・モデレーション、プライバシーなどの問題についてメンバー企業を代理しているものの、業界の最近の歴史の中では最も関連性が高く、結果的に重要なポリシーを巡る対話になる独占禁止法についての議論に対しては、明らかに避けていた。

議員たちがテック企業に新たな規制を課そうとしている独占禁止法についての問題は、テクノロジー業界の大手企業と、市場支配に関する懸念を指摘する中小企業の両方に影響を与えるような、他のほとんどのポリシーに関する懸念を凌駕し続けることだろう。

2014年にインターネット協会に加盟したYelp(イェルプ)は、かつて意見の相違により同団体を脱退した。「この団体は、何年も前に時価総額が5億ドル(約5700億円)を超える企業(GAFA)を追い出すことで、自らを救うことができたはずです」と、Yelpのシニア・パブリック・ポリシー・バイスプレジデントであるLuther Lowe(ルーサー・ロウ)氏はツイートした。「数年前に協会の上層部にこの提案をしたのですが、却下されたので脱退しました」。

Yelpは、独占禁止の問題について議会で証言し、以前はインターネット協会で仲間だったGoogleが、不当に自社製品に検索結果を優遇させる独占的企業であると主張している。

2020年、インターネット協会の会長を長年務めてきたMichael Beckerman(マイケル・ベッカーマン)氏は、退任してTikTok(ティックトック)のパブリックポリシー責任者に就任した。先月にはMicrosoft(マイクロソフト)とUberが同協会を脱退している。これは現在のテクノロジー業界におけるポリシーの問題に関しては、インターネット協会の有用性が薄れていることを示している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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