テック業界の黒人を支援する非営利団体のCEOが黒人起業家のための新ファンドを設立

新設されたBlack Tech Nation Ventures(BTVN)のゼネラルパートナーであるKelauni Jasmyn(ケラユニ・ジャスミン)氏は、新会社の狙いを実に簡潔に説明できる。「目標は、より多くの黒人に資金を提供することです」。

それはジャスミン氏が、教育、コンテンツ、コミュニティなどの分野で黒人起業家を支援する、ピッツバーグに拠点を置く非営利組織「Black Tech Nation」ですでに取り組んでいたことだ。そして今、同氏は共同GPとなるSean Sebastian(ショーン・セバスチャン)氏とDavid Motley(デビッド・モトリー)氏とともに5000万ドル(約54億5000万円)の第一号ファンドを調達し、資金調達の規模という部分にもっと直接的に取り組んでいく。

「世代を超えた富を築く上で黒人コミュニティに正真正銘の経済的な変化をもたらすような、歴史に残るようなまったく新しいことを始めようとしているのです」とジャスミン氏はいう。「私たちは、その基盤を形成する者になるのです」とも。

セバスチャン氏は同じくピッツバーグに拠点を置くシードファンド、Birchmere Venturesのパートナーであり、モトリー氏はBlueTree Venture FundとAfrican American Directors Forumの共同設立者だ。セバスチャン氏は、同氏とモトリー氏は、ジャスミン氏をはじめとする新世代の黒人投資家に力を与える「知識移転」のために参加しているとも示唆している。

一方のモトリー氏は、「Black Tech NationのプラットフォームをBirchmereのプラットフォームと結びつける」ための取り組みであることを示唆している。同氏はセバスチャン氏に促されて初めてジャスミン氏と話し、即座に「ショーン、これは本物だよ」と答えたことを覚えているという。

BTNVのパートナー3人は全員、ファンドには社会的な使命がある一方で、財務的なリターンも重視していることを強調する。

「特定のコミュニティを中心に据えているだけで、他のファンドと何ら変わりはありません」とジャスミン氏はいう。「当社は、たまたま未開拓の可能性という強みを持っているというだけです」。

このファンドはシードおよびシリーズAの投資を行うが、モトリー氏によるとソフトウェアのスタートアップに焦点を当てているそうで、SaaS、B2B、B2B2Cなどが考えられるという。これらのアイデアは収益化前または製品化前でも構わないが、「スケーラブルで、大きな価値創造につながる」必要がある。

セバスチャン氏はさらに、BTVNはピッツバーグに拠点を置いているが、米国内全域、特にシリコンバレー以外からの起業家への投資も視野に入れていると付け加えた。

ファンドの財務的な目標がBlack Tech Nationのより包括的なアプローチと相反することもあるのではないかと思ったが、パートナーたちは、営利目的のファンドと非営利組織は、実際にはお互いに補完し合えるものだと反論した。モトリー氏はBlack Tech Nationのおかげで「イエスと言える機会が増えた」と語り、ジャスミン氏は、もしこのベンチャーファンドが誰かへの投資を断らなければならなくなったとしても、「通りの向こう側(Black Tech Nation)に行って(アイデアに磨きをかけたあと)、また別の機会に検討しましょう」と伝えることができる、と提案した。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:資金調達

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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